
公開日:2020年5月29日/編集公開日:2026年8月12日
この記事の要点
東京都調布市の駐車場で、設置から20年が経過した移動式粉末消火設備をステンレス製の新しい設備へ交換した施工事例です。工事金額は55万円(税込)で、消防署への設置届の作成・提出まで当社が対応しました。交換の目安時期(約20年)、スチール製とステンレス製の違い、届出の注意点を、実際の工事写真とあわせて解説します。
監修者:チヨダ防災株式会社 新宿本社 副社長 清水 健一郎
チヨダ防災在籍28年。
保有資格:消防設備士 甲種第1類〜第5類/乙種第6類・第7類、第二種電気工事士、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者、建基法12条点検資格者
監修者:チヨダ防災株式会社 新宿本社 副事業所長 小野津 修
チヨダ防災在籍15年。
保有資格:消防設備士 甲種第1類・第4類・第5類/乙種第6類・第7類、第二種電気工事士、防火対象物点検資格者
駐車場の壁際に置かれた、赤い大きな箱型の消火設備。「移動式粉末消火設備」というこの設備は、多くの駐車場に設置されていますが、交換時期や費用を把握しているオーナー様・管理会社様は多くありません。本記事では、東京都調布市の駐車場で行った交換工事の事例をもとに、交換の目安時期、ステンレス製を選ぶ理由、消防署への届出までの流れを解説します。
この記事でわかること
・移動式粉末消火設備とは?駐車場に設置される理由 ・交換の目安は約20年|劣化のサイン ・スチール製とステンレス製の違い ・施工事例:東京都調布市の駐車場(55万円・税込) ・工事の流れを写真で解説 ・交換後は消防署への届出が必要 ・設備があっても「使えなければ」意味がない ・よくあるご質問移動式粉末消火設備とは?駐車場に設置される理由
移動式粉末消火設備は、粉末の消火薬剤が入った容器とホースが赤い格納箱に収められた消火設備です。火災の際にはホースを引き出してノズルを火元に向け、レバーを操作して粉末薬剤を放射します。消火器よりも多くの薬剤を放射できるため、自動車火災のような規模の大きな火災の初期消火に力を発揮します。
一定規模以上の駐車場には、消防法施行令第13条に基づき、水噴霧消火設備・泡消火設備・粉末消火設備などのいずれかの設置が義務づけられています。このうち移動式の粉末消火設備は、火災のときに煙が著しく充満するおそれのない場所に設置できるもので、建物1階の駐車場や開放性のある駐車場で広く採用されています。ガソリンなどの油火災に粉末薬剤が有効であることも、駐車場で選ばれる理由のひとつです。
交換の目安は約20年|劣化のサイン
移動式粉末消火設備の交換を推奨するおおよその期間は、日本消火装置工業会の示す目安で約20年とされています。半年に1回の消防設備点検で機能を確認していても、格納箱や容器、ホース、バルブ類は屋外に近い環境で年月とともに確実に劣化していきます。
次のようなサインが見られたら、交換をご検討ください。
- 格納箱や架台に錆が出ている、塗装が剥がれている
- 扉の開閉が固い、蝶番が錆びている
- 表示灯が切れやすくなった
- 設置から20年前後が経過している(製造年は本体の銘板で確認できます)
今回の調布市の現場も、2000年製の設備が設置されており、交換の目安である20年を迎えるとともに、外観の劣化が目立ってきている状態でした。
スチール製とステンレス製の違い
交換の際にぜひ検討していただきたいのが、格納箱の材質です。既設の設備はスチール製(鋼板に塗装を施したもの)であることが多いのですが、当社の経験では、スチール製は新品に交換しても4〜5年ほどで細かい部分に初期の錆や塗装の劣化が出はじめます。特に駐車場は雨水や排気ガスの影響を受けやすく、屋外に近い環境だからです。
| 項目 | スチール製 | ステンレス製 |
|---|---|---|
| 錆・塗装の劣化 | 4〜5年ほどで初期の錆・塗装劣化が出はじめる | 錆に強く、長期間きれいな外観を保てる |
| 建物の外観への影響 | 錆が出ると駐車場の印象を損ねる | 外観を損なわず、建物の資産価値の維持につながる |
| 本体価格 | ステンレス製より安価 | スチール製より高価 |
本体価格はステンレス製の方が高くなりますが、次の交換までの長い期間、錆の心配なく美観を保てることを考えると、当社はステンレス製への交換をおすすめしています。消防法にももちろん適合した製品です。
施工事例:東京都調布市の駐車場(55万円・税込)
| 所在地 | 東京都調布市 |
|---|---|
| 設置場所 | 建物1階の駐車場 |
| 工事内容 | 移動式粉末消火設備(ステンレス製)1台への交換、表示灯の配線、機器試験調整、消防署への設置届の作成・提出 |
| 既設設備 | 2000年製(設置から約20年経過)・スチール製 |
| 工事金額 | 55万円(税込)※既設機器の処分費・届出費用を含む |
※記載の工事金額は施工当時のものです。現在の資材価格・人件費により変動するほか、建物規模、設備構成、施工範囲によっても費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。
工事の流れを写真で解説
1. 既設設備の確認と撤去

設置から約20年が経過した既設の設備です。交換の目安を迎え、外観の劣化も目立ってきていました。既設設備を撤去し、粉末薬剤の容器は法令に沿って適正にリサイクル処理します(工業会のリサイクルシール制度に対応)。
2. 架台の調整と新設備の据付け

地面と接する架台を調整しているところです。設備がぐらつかず、扉の開閉やホースの引き出しがスムーズに行えるよう、水平をきちんと出して据え付けます。地味な工程ですが、いざというときの使いやすさを左右する大切な作業です。
3. 表示灯の設置と配線
設備の位置を知らせる赤色の表示灯を設置し、配線を行います。当社は第一種電気工事士の資格者が在籍しているため、消防設備の工事と電気の工事を分けて手配していただく必要がありません。
4. 試験調整と交換完了

ステンレス製の消火設備への交換が完了しました。機器の試験調整を行い、正常に機能することを確認して工事完了です。錆に強いステンレス製ですので、この先長い期間、駐車場の美観を損なうことなくお使いいただけます。
交換後は消防署への届出が必要
移動式粉末消火設備の交換後は、所轄の消防署への届出が必要です。今回の現場では調布消防署へ設置届を提出しました。添付資料として1階駐車場の竣工時の平面図が必要になるなど、届出には図面の準備を含めた手間がかかります。
当社は届出書類の作成から消防署への提出までを工事とあわせて対応しますので、オーナー様・管理会社様の手を煩わせることはありません。地域の消防署との協議・手続きに慣れた消防設備士が、現地調査の段階から必要な届出を見据えてご案内します。
設備があっても「使えなければ」意味がない
移動式粉末消火設備は駐車場で目にすることが多い設備ですが、その使い方を熟知している方はそれほど多くありません。初期消火がうまくいかなかった理由としては、設備を「使う気がなかった」「使い方を知らなかった」「使い方が悪かった」というものが多く、せっかく設置されている設備が役に立たなかった事例が数多く報告されています。
このような事例を少しでも減らすために、チヨダ防災では、半年に1回の消防設備点検や消防訓練の際に、建物の関係者の皆様に設備の使用方法を確認していただくことを心掛けています。設備を新しくすることと、使える人を増やすこと。その両方がそろってはじめて、防災設備は本来の役割を果たします。
よくあるご質問
Q. 移動式粉末消火設備の交換時期の目安はいつですか?
A. 日本消火装置工業会の示す交換推奨のおおよその期間は約20年です。設置年は本体の銘板で確認できます。錆や塗装の剥がれ、扉の開閉不良などの劣化サインが出ている場合は、20年を待たずにご相談ください。
Q. 交換費用はいくらくらいかかりますか?
A. 今回の調布市の事例では、ステンレス製の設備1台への交換・表示灯の配線・試験調整・消防署への届出まで含めて55万円(税込・施工当時の価格)でした。現在の価格は資材価格等により変動するほか、建物規模や設備構成、施工範囲により異なりますので、現地調査のうえお見積りいたします。現地調査・お見積りは無料です。
Q. 交換に消防署への届出は必要ですか?
A. 必要です。所轄の消防署へ届出を行い、添付資料として駐車場部分の平面図などの準備が必要になります。当社は書類の作成から提出までを工事とあわせて対応いたします。
Q. スチール製とステンレス製、どちらを選べばよいですか?
A. 本体価格はスチール製の方が安価ですが、スチール製は交換後4〜5年ほどで細かい部分に初期の錆や塗装の劣化が出はじめます。長期間美観を保ち、建物の外観を損なわないことを重視される場合は、ステンレス製をおすすめしています。
駐車場の消火設備の交換は、チヨダ防災にご相談ください
チヨダ防災株式会社は1976年の創業以来、東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)を中心に、消防設備の点検・工事を自社施工で行ってきました。移動式粉末消火設備の交換も、現地調査から施工、消防署への届出まで一貫して対応します。設備の製造年の確認だけでもお気軽にどうぞ。現地調査・お見積りは無料です。
お問い合わせフォームはこちら/お電話:03-6233-9821(新宿本社)
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