
インターホンの移設に消防署への届出が必要な理由|住戸内リフォームに伴う移設工事を解説【さいたま市の施工事例】
公開日:2020年2月19日/編集公開日:2026年8月5日
「住戸内のリフォームに合わせて、インターホンの位置を少しだけ動かしたい」――マンションにお住まいの方や管理会社様から、このようなご相談をいただくことがあります。
実は、共同住宅(マンション)のインターホンは単なる「通話装置」ではありません。多くのマンションでは、インターホン親機が火災感知器やガス漏れ警報器の信号を受信する住戸用自動火災報知設備の一部になっています。その場合、移設距離がわずか数メートルであっても、移設は消防法令に基づく届出が必要な「消防用設備の工事」にあたります。
この記事の要点
- マンションのインターホン親機は、住戸用自動火災報知設備(消防用設備)の一部となっている場合が多く、その場合は移設距離にかかわらず消防署への届出が必要です。
- 住戸用自動火災報知設備の工事は、消防設備士(甲種第4類)でなければ行うことができません。
- 移設後は、火災感知器・ガス漏れ警報器・防災センターとの連動を含む動作試験を行って初めて工事完了です。本事例の工事金額は143,000円(税込・施工当時)でした。
この記事では、さいたま市浦和区の11階建マンションで当社が行ったインターホン移設工事の事例をもとに、届出が必要な理由、工事の流れ、移設後に行う動作試験、費用の目安を解説します。
この記事の監修者
チヨダ防災株式会社 埼玉支店長 長井 真道
消防設備の設計・施工・点検に9年従事、担当棟数 約5,000棟
消防設備士 甲種第1類・第4類・第5類/乙種第6類・第7類
第一種電気工事士/建築基準法12条点検資格者/防火対象物点検資格者
施工事例の概要
| 所在地 | 埼玉県さいたま市浦和区 |
|---|---|
| 建物用途 | 共同住宅(マンション) |
| 規模 | 地上11階建・92世帯 |
| 築年数 | 約21年(施工当時) |
| 工事内容 | 住戸内インターホン親機の移設(移設距離 約5m)、配線工事、移設後の動作試験、消防署への設置届の提出 |
| 工事のきっかけ | 住戸内リフォームに伴う機器の移設 |
| 工期 | 出向2回(1回目:機器の取り外し・配線の敷設・機器の仮設/2回目:機器の取り付け・動作試験) |
| 工事金額 | 143,000円(税込)※施工当時の金額 |
※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。

なぜインターホンの移設に消防署への届出が必要なのか
共同住宅のインターホンは「住戸用自動火災報知設備」の一部
マンションのインターホン親機の多くは、来客対応のための通話機能だけでなく、住戸内の火災感知器やガス漏れ警報器の信号を受信し、警報を鳴らして、防災センター(管理室)へ知らせる「受信機」の役割を兼ねています。
つまり、住戸内で火災やガス漏れが起きたとき、その情報はインターホン親機を経由して建物全体の防災システムに伝わります。このタイプのインターホンは、消防法令にもとづく消防用設備(住戸用自動火災報知設備)の中核機器なのです(参考:特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)|e-Gov法令検索)。

移設は「消防用設備の工事」。消防署への届出が必要
消防用設備の一部であるインターホン親機を動かすということは、感知器やガス漏れ警報器、防災センターとつながる配線を含めた消防用設備の工事を行うということです。そのため、たとえ移設距離が数メートルであっても、消防法令に基づき管轄の消防署へ届出を行う必要があります。
消防用設備の工事に関する届出には、工事の内容によって、着手前に提出する着工届(工事整備対象設備等着工届出書)と、工事完了後に提出する設置届(消防用設備等設置届出書)があります。軽微な工事では着工届を省略できることがありますが、その場合でも設置届は必要です。どの届出が必要になるかは工事内容や管轄消防署の運用によって異なるため、当社が確認のうえ対応します。今回の工事では、工事完了後に管轄の消防署へ設置届を提出しました。
また、住戸用自動火災報知設備の工事は、消防設備士(甲種第4類)でなければ行うことができません。今回の工事も、甲種第4類消防設備士と第一種電気工事士の資格を持つ当社の社員が施工しました(当社の消防設備工事についてはこちら)。
管理会社・防災センターへの連絡も必要
住戸内のインターホンは防災センターの管理室親機とつながっているため、工事中に信号を発すると、防災センター側では異常として表示されます。誤報による混乱を防ぐため、工事前に管理会社・防災センターへ連絡し、工事日時と内容を共有しておくことが不可欠です。当社では、こうした連絡調整も含めて対応しています。
当社は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を中心に、一都三県のマンション・ビルでこうした消防設備工事の実績を重ねています。
インターホン移設工事の流れ
今回の工事は、住戸内リフォームに合わせてインターホン親機を約5m離れた位置へ移設するもので、2回に分けてお伺いし、1回目に機器の取り外し・配線の敷設・機器の仮設を、2回目に機器の取り付けと動作試験を行いました。全体の流れは次のとおりです。
- 現地調査・お打ち合わせ 既存のインターホン設備の機種・配線経路を確認し、リフォームの内容に合わせた移設位置と配線ルートを決定します。
- 管理会社・防災センターへの連絡 工事日時と内容を事前に共有し、工事中の信号の取り扱いについて調整します。
- 機器の取り外し・配線の敷設・機器の仮設(1回目の出向) インターホン親機をいったん取り外し、新しい設置位置まで配線を敷設したうえで、機器を仮設します。リフォーム工事の期間中も、火災の感知やインターホンを使える状態にしておくためです。
- 機器の取り付け・動作試験(2回目の出向) リフォーム後の壁面に親機を取り付け、通話・警報・移報が正しく機能するか、項目ごとに確認します(詳細は次章)。
- 消防署への設置届の提出 工事完了後、管轄の消防署へ設置届を提出します。

移設後に行う動作試験|移設して終わりではありません
インターホンの移設工事で最も重要なのが、移設後の動作試験です。配線を触る工事である以上、「元どおり鳴るはず」ではなく、通話・警報・移報のすべてが正しく機能することを一つひとつ確認して、初めて工事完了といえます。今回の工事では、次の試験を実施しました。
- インターホン子機と親機の通話確認
- 玄関集合機(集合玄関機)と親機の通話確認
- 火災感知器の加熱試験(実際に感知器を作動させて警報を確認)
- インターホン親機の表示確認
- 防災センター(管理室親機)の表示確認
- ガス漏れ警報器の連動確認

もし、消防設備の知識がない業者が「移設だけ」を行い、こうした連動試験が省略されてしまうと、火災やガス漏れが起きても警報が住戸内や防災センターに正しく伝わらないおそれがあります。外見上はインターホンとして普通に使えてしまうため、異常に気づかないまま放置されやすいのが怖いところです。インターホンの移設・交換は、消防設備工事の実績がある業者に依頼することを強くおすすめします。
インターホン移設工事の費用
今回の工事費用は、移設工事・動作試験・消防署への届出まで含めて143,000円(税込)でした(2020年2月・施工当時の金額です)。
※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。現地調査・お見積りは無料です。
よくあるご質問
Q. インターホンを交換するだけでも消防署への届出は必要ですか?
A. 親機が火災感知器やガス漏れ警報器の信号を受信する機種(住戸用自動火災報知設備の一部となっているもの)の場合は、交換・移設とも消防用設備の工事にあたり、消防署への届出が必要です。必要な手続きは工事内容や管轄消防署の運用によって異なるため、現地調査の際に確認いたします。
Q. マンションのリフォーム業者や電気工事店にインターホンの移設を頼めますか?
A. 住戸用自動火災報知設備の一部となっているインターホンの工事には甲種第4類消防設備士の資格が必要なため、リフォーム業者様や電気工事店様だけでは対応できない場合があります。リフォームの際は、リフォーム業者様と当社のような消防設備業者が連携して施工するケースも多くありますので、お気軽にご相談ください。
Q. 消防署への届出や管理会社への連絡は誰が行うのですか?
A. 当社にご依頼いただいた場合、消防署への届出書類の作成・提出から、管理会社・防災センターへの連絡調整まで当社が対応します。お客様に書類を作成いただく必要はありません。
まとめ
- マンションのインターホン親機は、住戸用自動火災報知設備(消防用設備)の一部となっている場合があります。
- その場合、移設・交換は消防用設備の工事にあたり、消防設備士(甲種第4類)による施工と消防署への届出が必要です。
- 移設後は、通話・警報・移報の連動を確認する動作試験まで行って、初めて工事完了です。
- インターホンの移設・交換は、消防設備工事の実績がある業者への依頼をおすすめします。
このような場合はご相談ください
- 住戸内のリフォームやリノベーションでインターホンの位置を変更したい
- 壁の撤去やキッチンの移設を予定していて、インターホンが支障になる
- インターホンを最新機種へ交換したい
- マンションの管理組合でインターホン設備の交換・更新を検討している
- 管理会社として、届出まで対応できる消防設備業者を探している
インターホンの移設・交換はチヨダ防災へ
チヨダ防災株式会社は、1976年の創業以来、消防設備の点検・工事を自社施工で行ってきました。インターホン(住戸用自動火災報知設備)の移設・交換についても、現地調査から施工、動作試験、消防署への届出、管理会社・防災センターとの調整まで一貫して対応します。
東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)の各拠点から、一都三県のマンション・ビルに対応しています。現地調査・お見積りは無料です。



