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誘導標識の設置基準とは?7.5m・曲がり角のルールと誘導灯との違いを解説【世田谷区・共同住宅の施工事例】

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誘導標識の設置基準とは?7.5m・曲がり角のルールと誘導灯との違いを解説【世田谷区・共同住宅の施工事例】

公開日:2020年4月4日/編集公開日:2026年8月11日

「消防設備点検で消火器の本数が足りないと指摘された」「誘導灯と誘導標識の違いがわからない」——建物のオーナー様や管理ご担当者様から、このようなご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、消火器は建物の各部分から歩行距離20m以内、通路誘導標識は各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置する必要があります。本記事では、東京都世田谷区の共同住宅で消火器の更新と誘導標識の設置を併せて行った施工事例をもとに、誘導標識の設置基準と誘導灯との違いを、写真付きでわかりやすく解説します。

この記事の要点

  • 誘導標識は電源不要の標識、誘導灯は非常電源を備えた照明器具という違いがある
  • 通路誘導標識は各部分から歩行距離7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置する(消防法施行規則第28条の3)
  • 消火器は能力単位を満たしたうえで、各部分から歩行距離20m以内・階ごとに設置する(消防法施行規則第6条)
  • 共同住宅((5)項ロ)で誘導灯の設置義務があるのは地階・無窓階・11階以上の部分などに限られ、それ以外は誘導標識の設置で足りるとされている
  • 今回は東京都世田谷区の共同住宅で、管理会社の変更を機に消火器34本の更新・格納箱34個・誘導標識42枚の設置を半日で実施した

【この記事の監修者】
チヨダ防災株式会社 代表取締役 下嶋 健弘
消防設備士(甲種特類・第1類〜第5類/乙種第6類・第7類)/第一種電気工事士/防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/建築基準法第12条点検資格者

施工事例の概要

今回の建物は、東京都世田谷区の共同住宅(消防法上の用途区分:(5)項ロ)です。管理会社が変更となったことを機に設備更新のご依頼をいただき、消火器34本の更新(粉末消火器17本・強化液消火器17本)、スチール製の消火器格納箱34個の設置、誘導標識42枚の設置を行いました。この規模の作業でも、工期は半日で完了しています。

工事概要
所在地 東京都世田谷区
建物用途 共同住宅((5)項ロ)
施工のきっかけ 管理会社の変更に伴う設備更新のご依頼
工事内容 粉末消火器17本・強化液消火器17本の更新、消火器格納箱(スチール製)34個の設置、誘導標識42枚の設置
工期 半日
工事金額 550,000円(税込)

※金額は施工当時のものです。建物規模、設備構成、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。

誘導標識とは?誘導灯との違い

誘導標識とは、火災などの際に避難口の位置や避難の方向を示すための標識(プレートやステッカー)です。避難口を示すものが「避難口誘導標識」、避難の方向を示すものが「通路誘導標識」です。よく似たものに「誘導灯」がありますが、両者には明確な違いがあります。

最大の違いは「電源の有無」

誘導灯は、非常電源を備えた照明器具で、通常時は点灯し続け(一定の条件を満たす場合には消灯できるケースもあります)、停電時にも非常電源によって一定時間点灯します。設置には電源工事が必要です。一方、誘導標識は電源を必要としない標識で、壁面などに取り付けるだけで設置できます。明るいうちに光を蓄え、暗闇で一定時間発光する「蓄光式誘導標識」もあります。

誘導灯と誘導標識の違い比較表
項目 誘導灯 誘導標識
電源 必要(非常電源を備える) 不要
停電時 非常電源で点灯を継続 発光しない(蓄光式は蓄えた光で一定時間発光)
設置工事 電源工事が必要 取り付けのみで設置可能
主な設置対象 不特定多数が出入りする建物、地階・無窓階・11階以上の階 など 消防法施行令別表第一(1)項〜(16)項の防火対象物(誘導灯の有効範囲内などは免除)

どちらを設置すべきかは、建物の用途・規模・階の条件によって決まります(消防法施行令第26条)。今回の建物のような共同住宅((5)項ロ)で誘導灯の設置義務があるのは、地階・無窓階・11階以上の部分などに限られ、それ以外の部分は誘導標識の設置で足りるとされています(免除規定に該当する場合を除きます)。反対に、不特定多数の方が出入りする店舗や飲食店などでは誘導灯が必要です。「誘導灯が必要なのに誘導標識で済ませていた」というケースは点検でしばしば見つかるため、判断に迷う場合は消防設備の専門業者への確認をおすすめします。

誘導標識の設置基準

【結論】誘導標識の設置基準は次のとおりです。

誘導標識の設置基準まとめ
避難口誘導標識 避難口の上部またはその直近に設置
通路誘導標識 廊下・通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置
設置の免除 主要な避難口を容易に見通し・識別でき、歩行距離30m以下の階など(消防法施行規則第28条の2)

誘導標識の設置基準は、消防法施行令第26条と消防法施行規則第28条の3に定められています。誘導標識には「避難口誘導標識」と「通路誘導標識」の2種類があり、それぞれ設置場所のルールが異なります。

避難口誘導標識:避難口の上部または直近に設置

避難口誘導標識は、避難口である旨を示す標識で、避難口の上部またはその直近の、多数の者の目に触れやすい箇所に設置します。緑地に白で人が走る姿が描かれた、おなじみのマークです。

通路誘導標識:歩行距離7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置

通路誘導標識は、避難の方向を示す標識です。廊下や通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所と、曲がり角に設置します。

ここで注意したいのは、「標識同士を7.5m間隔で設置する」という意味ではないという点です。廊下・通路のどの地点からでも、いずれかの誘導標識まで歩行距離7.5m以内で到達できるように配置します。長い廊下では、曲がり角がなくても途中に複数の標識が必要になります。また、基準となるのは直線距離ではなく歩行距離(実際に歩く経路の距離)です。

設置が免除される場合もある

誘導灯が設置されている場合、その有効範囲内の部分には誘導標識を設置する必要はありません。また、居室の各部分から主要な避難口を容易に見通し、かつ識別することができ、避難口までの歩行距離が30m以下の階など、一定の条件を満たすときは設置が免除されることがあります(消防法施行規則第28条の2)。なお、東京消防庁管内(今回の世田谷区もこれに含まれます)では、共同住宅等に係る消防用設備等の特例基準も運用されています。免除や特例の可否は建物の状況や所轄消防署の判断が関わるため、自己判断せず、点検業者や消防署に確認することをおすすめします。

今回の施工内容(写真で解説)

避難口誘導標識の設置

避難口の直近の壁面に避難口誘導標識を設置した様子

避難口の直近に、避難口誘導標識を設置しました。避難する人の目に確実に入る高さ・位置を確認しながら取り付けています。

通路誘導標識の設置

通路の壁面に避難方向を示す通路誘導標識を設置した様子

廊下・通路には、各部分からの歩行距離が7.5m以下となる配置と曲がり角を確認しながら、通路誘導標識を設置しました。今回設置した誘導標識は、避難口誘導標識と合わせて計42枚です。避難の方向(矢印)が避難口へ正しく向いているか、1枚ずつ確認しています。矢印の向きを誤ると、避難者を避難口と反対方向へ誘導してしまうおそれがあるため、設置後の確認まで丁寧に行うことが重要です。

併せて実施した消火器の更新工事

誘導標識の設置と併せて、消火器34本(粉末消火器17本・強化液消火器17本)の更新工事を行いました。

粉末消火器と強化液消火器を使い分け

共同住宅での消火器の更新工事の様子(消防設備工事)

粉末消火器は、薬剤を一気に放射して火勢を素早く抑えられるのが特長で、幅広い火災に対応できる最も一般的なタイプです。一方、強化液消火器は薬剤が液体のため燃えている物に浸透しやすく、冷却効果によって再燃を防ぎやすいのが特長です。今回は建物の状況に合わせて、両タイプを17本ずつ設置しました。

消火器は「能力単位」と「歩行距離20m以内」で配置する

消火器は、防火対象物の階ごとに、建物の各部分から一の消火器に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければなりません(消防法施行令第10条、消防法施行規則第6条)。ただし、必要本数が歩行距離20mだけで決まるわけではありません。用途・床面積等に応じて必要な「能力単位」を満たしたうえで、各部分から歩行距離20m以下となるよう配置します。誘導標識と同じく、基準は直線距離ではなく歩行距離です。更新の際にも、既存の配置がこれらの基準を満たしているかを確認したうえで設置しています。

また、消火器は通行や避難の支障にならず、必要なときにすぐ持ち出せる場所に、床面からの高さ1.5m以下で設置します(消防法施行規則第9条)。

格納箱の設置

更新した消火器を収納するための格納箱を壁面に設置した様子

設置した格納箱に消火器を格納した様子

共同住宅の共用廊下など、雨風や湿気の影響を受ける場所では、消火器本体の腐食や薬剤の変質を防ぐため、保護措置として格納箱を設置することがあります(格納箱の設置自体が法律上義務付けられているわけではありません)。今回もスチール製の格納箱34個を設置したうえで、消火器を1本ずつ格納しました。格納箱に入れることで、いたずらや転倒の防止にもつながります。

管理会社の変更・点検指摘は、設備見直しの好機

今回のように、管理会社やオーナーが変わったタイミングは、消防設備をまとめて見直す良い機会です。前の管理体制で更新が先送りになっていた消火器や、未設置のまま残っていた誘導標識が、引き継ぎの際に見つかることは珍しくありません。また、消火器の本数不足や誘導標識の未設置は、消防設備点検で見つかることが多い指摘事項でもあります。

いずれも比較的短い工期・小さな負担で改善できる工事です。今回の事例でも、消火器34本の更新と格納箱・誘導標識の設置を半日で完了しています。指摘や引き継ぎ事項をそのままにせず、早めに対応することをおすすめします。

当社は1976年の創業以来、消防設備の点検・工事を自社施工で行ってきました。点検で不足を発見した場合は、そのまま改善工事までワンストップで対応できます。東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)に拠点を置き、一都三県を中心に対応しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 誘導標識は何mごとに設置しますか?

A. 「7.5m間隔で貼る」という意味ではありません。消防法施行規則第28条の3では、避難口又は階段に設けるものを除き、各階ごとに、廊下・通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置することとされています。廊下のどの地点からでも、いずれかの誘導標識まで歩行距離7.5m以内で到達できる配置が必要です。

Q. 誘導灯と誘導標識、どちらを設置すればよいですか?

A. 建物の用途・規模・階の条件によって決まります。不特定多数の方が出入りする建物や、地階・無窓階・11階以上の階などでは誘導灯が必要になり、それ以外の建物では誘導標識で足りる場合があります。判断を誤ると点検や査察で指摘を受けることになるため、消防設備の専門業者や所轄消防署にご確認ください。

Q. マンション(共同住宅)に誘導灯は必要ですか?

A. 共同住宅(消防法施行令別表第一(5)項ロ)で誘導灯の設置義務があるのは、地階・無窓階・11階以上の部分などに限られます。それ以外の部分は誘導標識の設置で足りるとされていますが、無窓階の判定など建物の構造によって扱いが変わるほか、免除規定に該当する場合もあるため、最終的には所轄消防署の判断を確認してください。

Q. 誘導標識は自分で貼ってもよいですか?

A. 一般的な誘導標識の取り付け自体は、消防設備士でなければ行えない工事には該当しません。ただし、設置位置には「歩行距離7.5m以下」「曲がり角」などの基準があり、矢印の向きや設置位置を誤ると避難誘導として機能しません。基準への適合判断は別問題ですので、消防設備点検を依頼している業者に併せて相談することをおすすめします。

Q. 消火器は何本設置すればよいですか?

A. 建物の用途・延べ面積・構造から必要な「能力単位」を算出したうえで、各部分から歩行距離20m以内に収まるよう本数と配置を決めます。能力単位を満たしていても、配置によっては歩行距離の基準を満たせず増設が必要になることがあります。図面上の直線距離ではなく、実際に歩く経路で確認する必要があります。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 更新する消火器の本数、格納箱の有無、誘導標識の枚数などによって異なります。当社では現地調査・お見積りを無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

根拠法令

本記事の根拠法令一覧
消防法施行令 第10条(消火器具の設置)、第26条(誘導灯・誘導標識の設置)
法令本文はこちら(e-Gov法令検索)
消防法施行規則 第6条(消火器具の配置・歩行距離20m)、第9条(設置場所の基準)、第28条の2(設置を要しない防火対象物又はその部分)、第28条の3(誘導灯・誘導標識に関する基準の細目・歩行距離7.5m)
法令本文はこちら(e-Gov法令検索)

※本記事は編集公開日時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の建物における設置の要否や位置は、建物の状況および所轄消防署の指導により判断されます。

まとめ

誘導標識は電源不要で設置できる避難誘導のための標識であり、通路誘導標識は各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下となる箇所と曲がり角に設置します。共同住宅では、地階・無窓階・11階以上の部分などを除き誘導灯の設置義務はなく、誘導標識の設置で足りるとされています。消火器は能力単位を満たしたうえで、各部分から歩行距離20m以内・階ごとに配置するのが基本です。

今回は東京都世田谷区の共同住宅で、消火器34本の更新・格納箱34個・誘導標識42枚の設置を半日で行いました。消防設備点検で指摘を受けた方、管理会社の変更を機に設備を見直したい方、誘導灯と誘導標識のどちらが必要か判断に迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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