1. HOME
  2. メディア
  3. 工事 事例集
  4. 1994年製の火災受信機を交換|点検で見つかった不具合をまとめて改修した事例【神奈川県横須賀市】

1994年製の火災受信機を交換|点検で見つかった不具合をまとめて改修した事例【神奈川県横須賀市】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1994年製の火災受信機を交換|点検で見つかった不具合をまとめて改修した事例【神奈川県横須賀市】

公開日:2026年8月18日/編集公開日:2026年8月19日

「消防設備点検で不具合を指摘されたが、どこから手をつければよいかわからない」——そんな管理会社様・オーナー様に向けて、本記事では神奈川県横須賀市の共同住宅で実施した消防設備の一括改修工事をご紹介します。1994年製(31年経過)の火災受信機の交換を中心に、総合盤・避難ハッチ・連結送水管の不具合をまとめて改修し、工事金額は148万5,000円(税込)でした。費用の内訳、工事の流れ、横須賀市ならではの避難ハッチの基準まで解説します。

この工事のポイント

  • 神奈川県横須賀市の共同住宅(地上7階建て)で、消防設備点検で見つかった不具合をまとめて改修
  • 1994年製の火災受信機(P型1級)を交換——製造から31年が経過し、バッテリーも容量低下
  • ベル・通話・押しボタンに不具合のあった総合盤4台を交換
  • 避難ハッチは塩害に備えてオールステンレス製に交換。横須賀市の条例基準に対応し、下の階からワイヤーで開放できる機構と消防隊進入マーク付き
  • 連結送水管は屋上補給水槽のボールタップが止水せず、交換して通水確認
  • 工事金額:148万5,000円(税込)/施工:2026年1月(工期2日)

【この記事の監修者】
チヨダ防災株式会社 横浜副事業所長 川端 諒祐
消防設備士(甲種第1類〜第5類/乙種第6類・第7類)/消防設備の設計・施工・点検に10年従事

工事の概要

今回の現場は、神奈川県横須賀市の地上7階建ての共同住宅です。定期的な消防設備点検の中で、自動火災報知設備・避難器具・連結送水管の3つの設備にまたがる不具合が見つかり、オーナー様にご報告のうえ、まとめて改修工事を行いました。

工事概要(神奈川県横須賀市・共同住宅)
所在地 神奈川県横須賀市
建物用途・規模 共同住宅/地上7階建て
工事内容 火災受信機(P型1級)交換/総合盤4台交換/避難ハッチ・避難はしご交換/連結送水管ボールタップ交換
工事のきっかけ 消防設備点検での不具合指摘
施工時期 2026年1月(工期2日)
工事金額 148万5,000円(税込)

※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。

消防設備点検で見つかった5項目の不具合

消防設備点検では、次の5項目の不具合が見つかりました。いずれも、いざというときの設備の機能や、建物の維持管理に関わる内容です。

点検で見つかった不具合と、放置した場合のリスク
設備 不具合の内容 放置した場合のリスク
自動火災報知設備 火災受信機のバッテリー容量低下(1994年製・31年経過) 停電時に受信機が動かず、火災を検知・通報できない
自動火災報知設備 2階総合盤のベルが鳴らない(不鳴動) 火災発生をその階の入居者に知らせられない
自動火災報知設備 3・4階の発信機の通話が不安定/6階の発信機の押しボタン不良 火災を見つけた人が手動で通報できない
避難器具 避難ハッチ取付部分のアンカーボルト固定不良 避難時にハッチやはしごに体重をかけた際、外れるおそれ
連結送水管 屋上補給水槽のボールタップの止水不良 水槽の水位を正しく保てず、水があふれ続ける

このように、複数の設備に不具合が同時に見つかることは、築年数の経った建物では珍しくありません。機器の寿命は設置時期が同じであれば、おおむね同じ時期にやってくるためです。加えて、横須賀市のような海に近い地域では、潮風に含まれる塩分(塩害)で金属部品の劣化が内陸より早く進む傾向があります。

自動火災報知設備の改修——受信機と総合盤の交換

結論:31年使用した受信機は予備電源の不良も確認されたため、部分修理ではなく本体交換を行い、ベル・通話・押しボタンに不具合のあった総合盤4台もあわせて交換しました。

1994年製の火災受信機を交換

横須賀市の共同住宅で交換前の1994年製P型1級火災受信機 横須賀市の共同住宅で交換したP型1級火災受信機(露出型)

火災受信機は、建物中の感知器や発信機からの信号を受け取り、ベルを鳴らして建物全体に火災を知らせる、自動火災報知設備の「心臓部」にあたる機器です。

今回の受信機は1994年製で、製造から31年が経過していました。点検ではバッテリー(予備電源)の不良を確認しています。予備電源は停電時に受信機を動かすためのものですから、このまま放置すると、停電を伴う災害時に自動火災報知設備そのものが機能しなくなるおそれがあります。

一般社団法人日本火災報知機工業会では、火災受信機の更新時期の目安をおおむね15年(電子部品を多用していない機種は20年)としています。これは法令で定められた交換期限ではありませんが、今回の受信機は目安の2倍にあたる31年が経過しており、補修用部品の供給状況も踏まえ、部分的な修理ではなく受信機本体の交換をご提案しました。新しい受信機はP型1級・露出型を採用し、交換後は各階の警戒区域表示や連動の試験まで行っています。

ベルが鳴らない・通話できない総合盤4台を交換

横須賀市の共同住宅で交換前の屋外埋込型総合盤(ベル不鳴動・押しボタン不良) 横須賀市の共同住宅で交換した屋外埋込型総合盤とリニューアルプレート

総合盤とは、火災を知らせるベル(地区音響装置)、手動で通報するための発信機(押しボタン)、位置を示す表示灯を1つの箱にまとめた機器で、共同住宅では各階の共用廊下などに設置されています。

今回は「2階のベルが鳴らない」「3・4階の発信機の通話が不安定」「6階の発信機の押しボタンが正常に動作しない」と、ベル・通話・押しボタンの不具合が複数の階にまたがって見つかったため、屋外埋込型の総合盤4台をまとめて交換しました。屋外に設置された総合盤は雨と潮風に直接さらされるため、こちらも塩害の影響を受けやすい機器です。

埋込型の総合盤を交換する際は、既設の開口部と新しい機器の寸法が合わないことがあります。今回は屋外用のリニューアルプレート(化粧板)を併用し、壁の開口部を補修することなく、外観もきれいに仕上げました。交換後は、受信機との連動、ベルの鳴動、発信機の通話・押しボタン動作をすべて試験し、正常に働くことを確認しています。

避難ハッチの交換——塩害対策と横須賀市の基準への対応

結論:アンカーボルトの固定不良が確認された避難ハッチを、塩害に強いオールステンレス製で、横須賀市の基準に対応した改修用ハッチに交換し、降下試験まで実施しました。

アンカーボルトの固定不良と塩害

横須賀市の共同住宅で交換前の避難ハッチ(錆が進んだ上蓋)

バルコニーの避難ハッチは、階段が使えなくなったときに下の階へ避難するための器具です。点検で、取付部分のアンカーボルトの固定不良が見つかりました。ハッチやはしごは避難時に人の体重を支える器具ですから、固定が緩んだ状態を放置するわけにはいきません。

今回は、改修用避難ハッチ(上下操作式)に交換しました。改修用避難ハッチは、既設のハッチ枠の上から新しい枠をかぶせて施工する製品で、床の防水層を大きく壊さずに交換できるのが特長です。横須賀市は海に近く、塩害による金属部品の腐食が懸念されるため、今回は耐食性を考慮して、ハッチ枠だけでなく避難はしご(7段)までステンレス製の製品を採用し、長く安心して使える仕様としました。

横須賀市の基準——下の階から開けられるワイヤーと消防隊進入マーク

避難ハッチ下蓋の消防隊進入マークと開放用ワイヤー(横須賀市の条例基準に対応) 下の階から避難ハッチの開放用ワイヤーを引く様子 下の階からワイヤーで開放し展張した避難はしご(横須賀市の共同住宅)

避難ハッチというと「上の階から蓋を開けて降りるもの」というイメージですが、横須賀市では「横須賀市の適正な土地利用の調整に関する条例」第16条第2項に基づき、消防隊の進入経路の構造が同条例施行規則第14条第2項で定められています。同項第2号では、進入経路として避難器具を設置する場合は固定式の金属製避難はしごとし、取付部の開口部の大きさを確保したうえで「上階及び下階で操作することができるものとすること」と規定されています(第1号では、進入経路となるバルコニーに0.6メートル以上の有効幅員を確保することも求められています)。

今回の建物では、バルコニーの避難ハッチが消防隊の進入経路を兼ねているため、この基準に適合する上下操作式の製品を採用しました。下の階からワイヤーを引くと蓋が開き、はしごが降りてくる機構です。あわせて、下蓋(下の階から見える面)には、ここが消防隊の進入経路であることを示す消防隊進入マークを表示しています。

こうした地域ごとの基準は、全国一律の消防法令に上乗せされるもので、市によって内容が異なります。当社は横浜本社から横須賀市内の工事・点検に日常的に対応しており、所轄消防署との協議や届出を含めて、地域の基準に沿った施工を行っています。

採寸から防水処理・降下試験まで

着工前の避難ハッチ採寸作業(横須賀市の共同住宅) 交換後のステンレス製避難ハッチ(上下操作式)の上蓋

交換にあたっては、着工前に既設ハッチの採寸が必要です。当社は消防設備点検を自社の社員が行っており、点検の際に採寸まで済ませられるため、採寸のためだけに入居者様のバルコニーに再度お邪魔する必要がありません。交換後はハッチまわりの防水処理を丁寧に行い、降下試験ではしごの展張・格納、下の階からのワイヤー開放を含めて正常に使用できることを確認しています。

避難ハッチ交換の費用相場や工事の流れは、避難ハッチ交換工事の費用ガイドで詳しく解説しています。

連結送水管の改修——ボールタップの交換

結論:止水しなくなった屋上補給水槽のボールタップを複式20Aに交換し、交換後の通水試験で給水・止水が正常に働くことを確認しました。

止水不良を起こした交換前のボールタップ(屋上補給水槽・横須賀市の共同住宅) 交換後のボールタップ(複式20A)の通水確認

連結送水管は、火災のときに消防隊がポンプ車から送った水を建物の上階まで届けるための設備です。屋上の補給水槽は、配管内を水で満たしておくための水槽で、水位が下がると自動で給水する仕組みになっています。この給水の弁の役割をするのがボールタップです。

今回は点検の試験で、水位が上がってもボールタップが止水しないことを確認しました。長年の使用で弁の部分が劣化しており、放置すると水槽から水があふれ続け、無駄な水道使用や周辺の劣化にもつながります。修理ではなく複式のボールタップ(20A)への交換を行い、交換後の通水試験で、給水と止水が正常に働くことを確認しています。

ボールタップのような部品は決して目立つ機器ではありませんが、消防隊の活動を支える設備の一部です。消防設備点検では、こうした細部まで確認しています。

不具合をまとめて改修する3つのメリット

今回のように、設備をまたぐ複数の不具合を1回の工事にまとめると、次のようなメリットがあります。

1. 費用を抑えやすくなる

出向回数・職人の手配・運搬をまとめられるため、別々に発注するより諸経費を抑えやすくなります。今回の工事でも、複数設備の同時改修を前提としたお見積りをご提示しました。

2. 入居者様への負担が少ない

共同住宅の消防設備工事では、共用部の作業やベルの鳴動試験など、入居者様にご協力・ご理解をいただく場面があります。工事を1回にまとめれば、お知らせや日程調整も1回で済み、入居者様の負担を減らせます。

3. 消防署への届出・検査を一度に進められる

今回のように、自動火災報知設備と避難器具のそれぞれで消防署への届出が必要となる工事では、同時に施工することで、届出書類の作成から消防検査への立会いまでを一連の流れで進められます。

工事金額と費用の考え方

今回の工事金額は、148万5,000円(税込)です。内訳のおおまかな構成は次のとおりで、火災受信機と総合盤の交換、つまり自動火災報知設備の改修が全体の大半を占めています。

工事内容と費用の構成(今回の事例)
工事内容 主な費用項目
自動火災報知設備の改修 火災受信機(P型1級・露出型)本体と交換工事費、総合盤4台とリニューアルプレート、取替工事費
避難器具の改修 改修用避難ハッチ(ステンレス製・上下操作式)、避難はしご(ステンレス製7段)、交換工事費、防水処理費
連結送水管の改修 ボールタップ(複式20A)、交換作業費
消防関係費用・諸経費 着工届・設置届の作成と届出(2設備分)、消防対応費、試験調整費、産業廃棄物処分費など

※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。現地調査・お見積りは無料です。

「点検で不具合を指摘された」オーナー様・管理会社様へ

チヨダ防災では、現地調査・お見積りを無料で行っています。他社様の点検結果報告書をもとにしたご相談も承ります。

無料の現地調査・お見積りを相談する

消防署への届出と消防検査

今回の改修では、自動火災報知設備と避難器具の2設備について、消防署への届出(着工届・設置届)を当社で作成・提出しました。

  • 着工届——着工届が必要となる工事では、原則として工事着手の10日前までに、甲種消防設備士が届け出ます。
  • 設置届——設置届が必要となる工事では、工事完了後4日以内に、建物の関係者(届出義務者)が届け出ます。届出書類は建物関係者の確認のもと、当社で作成し、提出までサポートします。

届出書類には建物の平面図・立面図が必要です。竣工図面が残っていない建物では、届出用の図面作成が別途必要になることがありますので、お見積りの際にご確認ください。今回は届出後の消防検査にも当社が立ち会い、検査完了までサポートしました。

よくあるご質問

Q. 火災受信機だけを交換することはできますか?

A. できます。感知器や配線の状態が良好であれば、受信機のみの交換も可能です。ただし、受信機と同じ時期に設置された総合盤や感知器も劣化が進んでいることが多いため、点検結果をもとに、交換範囲をご提案いたします。

Q. 総合盤のベルが鳴らないまま放置するとどうなりますか?

A. 火災が起きても、その階の入居者に警報が届かず、避難の遅れにつながるおそれがあります。また、消防設備点検の結果は消防署へ報告するため、不具合を放置していると改修の指導を受けることがあります。早めの改修をおすすめします。

Q. 避難ハッチが「下の階から開く」のはどの建物でも必要ですか?

A. 地域によって異なります。避難ハッチの基準は全国一律の消防法令に加えて、自治体の条例が上乗せされることがあります。横須賀市では「横須賀市の適正な土地利用の調整に関する条例」第16条第2項および同条例施行規則第14条第2項第2号により、消防隊の進入経路として設置する避難はしごは、上の階と下の階の両方から操作できるものとすることが定められています。すべての避難ハッチが対象になるわけではなく、消防隊の進入経路にあたる避難器具に適用される基準です。当社では、建物の所在地や設置状況に応じた基準を確認したうえで、適合する製品を選定・施工します。

Q. 工事中、入居者は普段どおり生活できますか?

A. できます。作業は主に共用部と屋上、避難ハッチのあるバルコニーで行います。ベルの鳴動試験など音の出る作業は、事前にお知らせしたうえで時間帯を配慮して実施します。

Q. 他社の点検で指摘された不具合の工事だけを頼めますか?

A. ご依頼いただけます。他社様の点検結果報告書をもとに現地調査を行い、お見積りいたします。あわせて、次回からの消防設備点検も当社にお任せいただければ、点検から改修までを一貫して管理できます。

まとめ——点検の指摘は、まとめて改修がおすすめです

今回は、神奈川県横須賀市の共同住宅で、消防設備点検で見つかった5項目の不具合——31年経過した火災受信機、ベルや発信機に不具合のあった総合盤4台、アンカーボルトが緩んだ避難ハッチ、止水しなくなったボールタップ——を1回の工事でまとめて改修した事例をご紹介しました。海に近い建物では塩害で設備の劣化が早く進みます。点検での指摘に早めに手を打つことが、建物と入居者様を守ることにつながります。

チヨダ防災株式会社は1976年の創業以来、消防設備の点検から改修工事、消防署への届出までを自社の社員が一貫して行ってきました。横須賀市をはじめ神奈川県内の工事も、横浜本社よりお伺いします。点検で不具合を指摘された方、築年数が経過した建物の設備更新をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。現地調査・お見積りは無料です。

チヨダ防災の強み・特徴はこちら
お問い合わせ・無料見積りのご依頼はこちら
その他の点検・施工事例を見る

チヨダ防災株式会社
1976年創業。消防設備の点検・設計・施工を自社の社員が一貫して行っています。
拠点:東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)
対応エリア:一都三県を中心に、群馬県・栃木県・茨城県の定期点検にも対応

  • このエントリーをはてなブックマークに追加