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火災報知器の誤報はなぜ起きる?1か月48件の緊急対応を集計してわかった原因・対処法・出動費用|チヨダ防災

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火災報知器の誤報はなぜ起きる?1か月48件の緊急対応を集計してわかった原因・対処法・出動費用|チヨダ防災

公開日:2026年9月16日

今、非常ベルが鳴っている方へ

入居者様・在館者の方

  • 「どうせ誤報」と決めつけず、まず身の安全を確保してください。火災が発生するのは目に見える部分だけではありません。壁裏や天井裏など、見えないところで火災が発生している可能性もあります。
  • 煙・炎・焦げ臭さがある、または安全に確認できず火災でないと言い切れない場合は、迷わず次の行動をとってください。
避難と119番通報を優先してください
  • 受信機(火災受信機)の操作は無理に行わず、管理会社・建物の管理者に連絡してください。

オーナー・管理会社・管理員の方

  • 受信機の表示で発報場所を確認し、現場で火災でないことを確かめてから音響を止めます(操作手順はこちら。写真付きの詳しい解説は近日公開)。
  • 主電源を切る、感知器を外して放置する、音響停止スイッチを入れたままにする、はしないでください。
  • 復旧しても再発する、故障表示が出ている場合は、消防設備業者への連絡が必要です(出動が必要なケース)。

この記事の要点

  • 火災でないのに火災報知器が鳴ることを「誤報(非火災報)」といいます。感知器は火と煙・湯気・ほこりを区別できないため、火災でなくても「火災に近い状態」なら鳴ります
  • 当社では2026年8月16日〜9月15日の1か月間に、非火災報・トラブル警報あわせて48件の緊急対応を行いました。うち29件は感知器の経年劣化と判断した事例で、約半数(23件)が夜間・早朝の出動で、9月1〜15日に33件が集中しました。
  • 原因が最後まで分からないケースはほとんどありません。調査すれば、感知器の劣化・設置環境・配線など、はっきりした原因が見つかるのが普通です。
  • 夜間・休日の緊急出動は、定期点検契約を継続いただき、緊急対応費用にご同意いただいているお客様に限って行っています。また、繰り返し鳴る建物で「鳴った箇所だけの交換」を続けることはお断りし、一斉更新をご提案しています。出動費の目安は平日・土曜日の日中22,000円〜、夜間・深夜・早朝は33,000円〜、日曜日・祝日は33,000円〜(税込・部品代別途。時間帯別の一覧は第6章)です。

この記事の監修者

チヨダ防災株式会社 代表取締役 下嶋 健弘

消防設備士 特類〜第7類/第一種電気工事士。消防設備の設計・施工・点検に15年従事し、約7,000棟を担当。本記事の集計は、当社の各拠点(東京・神奈川・埼玉・千葉)の社員が実際に出動した記録をもとにまとめています。

「火事でもないのに非常ベルが鳴った」「感知器のランプが点いていて止まらない」──火災報知器の誤報は、建物のオーナー様や管理会社様にとって、深夜や休日に突然やってくる厄介なトラブルです。放置すると入居者様の不安や苦情につながり、「どうせまた誤報だろう」と本当の火災を見逃す原因にもなります。

この記事では、当社の5拠点(新宿・横浜・埼玉・千葉・町田)が2026年8月16日から9月15日までの1か月間に対応した48件の緊急対応を集計し、誤報が起きる原因、多い時間帯、管理者が行う操作、業者に出動を依頼すべきケース、出動費用と対応の条件を解説します。

火災報知器の「誤報」とは──非火災報・トラブル警報・本火災報

火災報知器(自動火災報知設備)が鳴る状況は、大きく3つに分かれます。

区分 内容 受信機の表示
本火災報 実際に火災が起きて感知器が作動したもの。 火災灯・地区表示灯が点灯、ベル鳴動
非火災報(誤報) 火災ではないのに感知器が作動し、火災として警報が出たもの。この記事で扱う「誤報」はこれです。 本火災報と同じ表示・鳴動(表示だけでは区別できません)
トラブル警報(障害警報) 配線の断線、バッテリー容量の低下、電源の異常など、設備自体の不具合を知らせるもの。火災警報とは別の音で鳴ります。 「故障」「断線」「電源異常」等の表示、障害音(ブザー音など)

※表が切れている場合は横にスクロールできます →

感知器は「熱」や「煙」を検知して火災を判断していますが、火と煙・湯気・ほこりを見分けているわけではありません。感知器が「火災に近い状態」だと判断すれば鳴る──これが非火災報の正体です。したがって、誤報は必ずしも機器の故障とは限らず、設置環境や使い方が原因になっていることも多くあります。

街中で消防車が走っているのを頻繁に目にすると思いますが、あれは本火災だけではありません。非火災報やトラブル警報で建物のベルが鳴り、入居者様や通行人が通報して出動しているケースも少なくありません。それだけ非火災報は日常的に起きています。

早朝や夜間に火災の警報ベルが鳴り、それが自分の住戸の感知器だったとなると、「火を出したのではないか」と周囲から疑われる、あるいはご自身でも疑ってしまうことがあると思います。しかし非火災報の場合、その多くは感知器や配線など、機器側の経年による劣化や不具合によるものです。住んでいる方の使い方に問題があったわけではないケースがほとんどです。

なお、本火災報と非火災報は受信機の表示では区別できません。「誤報かどうか」は、現場で火災でないことを確認して初めて言えることです。これが、冒頭で「誤報と決めつけない」とお願いした理由です。

1か月で48件──2026年夏の緊急対応を集計してわかったこと

当社では、消防設備点検をご契約いただいているお客様の建物で火災報知器が鳴った際、緊急出動して原因の特定と復旧を行っています。2026年8月16日から9月15日までの1か月間に、新宿・横浜・埼玉・千葉・町田の5拠点あわせて48件(出動回数ベース。同じ建物への複数回の出動は別々に数えています)の緊急対応を行いました。内訳は火災警報・その他の警告音に関する対応が43件、設備の障害(トラブル警報)に関する対応が5件です。なお、以下は当社の1か月間の出動集計であり、業界全体の原因割合を示すものではありません。

8月前半までのここ半年ほどは誤報がとても少なく、「このまま落ち着くのか」と感じていました。ところが8月末から9月に入ると要請が急増し、最も多い日には1日で12件の出動がありました。以下、48件を集計した結果です。

① 期間別の推移──9月前半に7割が集中

緊急対応件数の推移(2026年8月16日〜9月15日、当社5拠点合計。9月15日時点の出動記録を確定し、9月16日に集計・公開)
期間 件数
8月16日〜22日 7件
8月23日〜31日 8件
9月1日〜7日 11件
9月8日〜15日 22件(うち9月9日だけで12件)
合計 48件

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9月1〜15日の33件で全体の7割を占めています。この集計だけで天候との因果関係を特定することはできませんが、現場の実感としては、湿度が高く気温が急に変わる日に要請が重なる傾向があります。誤報は「毎日ぽつぽつ起きる」のではなく、条件のそろった日に一斉に起きるものだと考えて備える必要があります。

② 原因別の内訳──29件が感知器の経年劣化

緊急対応48件の原因内訳(当社の出動記録による判断)
区分 原因・確認された状況 件数 主な状況
非火災報・その他
43件
熱感知器の経年劣化 20件 共同住宅の住戸内(洋室・キッチン・クローゼット)の熱感知器が発報。復旧しても再発
煙感知器の経年劣化 9件 階段・通路・エレベーター上部など共用部の煙感知器が発報。連動する防火戸が閉まったケースも
受信機の故障・その疑い 2件 湿気の影響が疑われる受信機の故障、受信機の不具合の疑い
雨漏り 1件 雨漏りで住戸内の感知器が濡れて発報
調理・設備の煙や熱 2件 住戸でパンを焦がして熱感知器が作動、飲食店の厨房機器の異常で感知器が作動(いずれも感知器としては正常な反応)
虫(蜘蛛の巣) 1件 階段の煙感知器に蜘蛛の巣が張り発報
非常ボタンの誤操作/感知器への衝撃 2件 インターホンの緊急ボタンが押された/ドアの取り外し作業中に感知器にぶつけた
その他 6件 到着前に消防隊やオーナー様が受信機の電源を切っていたため復旧作業を実施、原因の線を切り離して復旧、住宅用火災警報器の作動、火災報知設備ではなく別の機器の警告音だった、など
トラブル警報
5件
バッテリー容量の低下 2件 受信機の予備電源(バッテリー)の劣化で障害音響が鳴動
配線の断線 2件 配線の錆(緑青)で芯線が被覆を突き破り断線、断線箇所をその場で特定できず後日調査
落雷による電源断 1件 豪雨時の落雷で受信機の電源が入らなくなり、後日受信機を交換
合計 48件  

※「その他」は原因が分からなかったものではなく、到着時にはすでに受信機の電源が切られていた等の理由で、原因の分類より復旧作業が主になった案件です。表が切れている場合は横にスクロールできます →

熱感知器と煙感知器を合わせると、緊急対応48件のうち29件(60%)は感知器の経年劣化と判断した事例でした。その多くは設置から15〜20年を超えた建物です。古くなった感知器は湿度や気温の変化に反応しやすくなり、それまで何ともなかった建物でも、季節の変わり目に突然鳴り始めます。

一方で、たばこの煙が原因だったものは48件中0件でした。「誤報といえばたばこ」という印象を持たれがちですが、当社の経験では、たばこが原因の誤報は思われているよりずっと少ないのが実態です。

③ 出動の時間帯──半数が夜間・早朝

48件のうち、23件(48%)が18時〜翌9時の夜間・早朝の出動でした。深夜0時台、明け方3時台・4時台の出動も複数あります。夜間は気温が下がって結露しやすく、劣化した感知器が反応しやすい条件がそろいます。

また、48件のうち3件は当社が到着する前に消防隊が駆けつけていたケースでした。入居者様の通報で消防が出動し、鳴り止まないため受信機の電源を落としたり、感知器の配線を切って音響を止めたりした後、当社が復旧と交換を行っています。消防隊の措置はその場の安全のためのものなので、その後は必ず消防設備業者による復旧が必要です。

消防隊が駆けつけた場合、建物の関係者が誰も来ないと消防隊は対応を引き継げず、現場を離れられないことがあります。消防隊の方からは「あと何分で来られますか」と聞かれることが多く、あまりお待たせするわけにはいきません。ところが早朝や深夜はオーナー様や管理会社のご担当者様と連絡がつかないことが多く、定期点検を請け負っている当社が関係者として現場に駆けつけ、消防隊から引き継いで対応することがあります。

警備会社の方が先に駆けつけることもありますが、警備会社の方は多くの場合、火災感知器などの補修機器を持っていないため、その場では音響を止めるまでで、根本的な解決は後日になりがちです。当社は社員の誰かしらが補修機器を持っていることが多く、

消防隊が音響を止めるために感知器を取り外した後の天井のベース
消防隊が取り外した煙感知器
消防隊が先着し、鳴り止まないため感知器を取り外していた現場。左が取り外された後の天井のベース、右が外された感知器。当社が引き継いで復旧・交換を行いました。

夜間・早朝の出動を続けられる理由

半数が夜間・早朝という出動を無理なく続けるため、当社では深夜・早朝に対応した社員に代休や早めの退勤・遅めの出勤で勤務を調整し、特定の社員に負荷が偏らないようにしています。対応手当は、事前に社員と取り決めた基準に基づいて支給しています。夜間の出動を「社員の頑張り」に頼らず、会社の仕組みとして回していることが、翌日以降の点検・工事の品質を落とさずに緊急対応を続けられている理由です。

社員と取り決めた基準に基づいて手当を支給するため、対応費用を確実にお支払いいただけるお客様でないと、夜間・早朝に対応することはできません。

④ 同じ建物で繰り返し鳴る

この1か月の間に、同じ建物から2回以上の出動要請があった建物が4棟ありました。いずれも感知器の経年劣化が原因で、1回目は復旧や当該感知器の取り外しで様子を見たものの、数日後に別の住戸や別の感知器が鳴ったというパターンです。同じ時期に設置された感知器は、同程度に劣化が進んでいる可能性があります。1個目が鳴った時点で、建物全体の感知器の設置年数を確認することをおすすめします(繰り返し鳴る建物への当社の対応方針は第6章をご覧ください)。

⑤ 処置別の内訳

処置 件数
原因の感知器を特定し、交換(当日交換したもの、入居者様不在等でいったん切り離し後日交換したものを含む) 35件
受信機・バッテリー・配線の修理または交換 8件
火災でないことを確認し、復旧操作または確認のみで完了 5件
合計 48件

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交換後に取り付けられた新しい煙感知器
その場で交換を終えた煙感知器。主要な機器を在庫しているため、多くの場合は当日中に交換まで完了します。

当社では火災感知器や受信機などの主要な機器を各拠点と倉庫に在庫しているため、交換が必要と判断し、住戸に入れる状況であれば、その場で交換して完了しています。入居者様が不在のため住戸に入れない場合は、オーナー様および消防隊の許可をいただいたうえで、建物の全回線を未警戒にするのではなく、発報している回線または特定の回路のみを一時的に未警戒にして退館し、後日改めて交換に伺うこともあります。未警戒にした回線の範囲は、復旧までの間は火災を監視できません。そのため、やむを得ず一部の警戒機能を停止する場合は管理者様と協議し、必要に応じて所轄消防署と対応を確認したうえで、停止範囲・復旧予定に加えて、復旧までの巡回や火気管理などの代替措置を具体的に定め、早期復旧を進めています。

今回の48件のほとんどで、原因となった機器・回線・設置環境をその場で絞り込めています。断線の1件のようにその場で箇所を特定できない場合は、追加調査を行って再発防止につなげています。「原因不明」で終わらせないことが、再発を防ぐ第一歩です。

誤報の主な原因

今回の48件の集計と、当社が日常的に対応している誤報をもとに、主な原因を整理します。

1. 感知器の経年劣化

今回の集計で最も多かった原因です。感知器は電子部品や検知部が徐々に劣化し、正常な状態でも「火災に近い」と誤判断しやすくなります。ただし、非火災報の原因は感知器だけではありません。配線のトラブル(線同士の接触や断線など)や受信機の不具合でもベルは鳴ります。「古い建物だから感知器だろう」と決めつけず、感知器・配線・受信機・設置環境を順に確認することが大切です。日本火災報知機工業会では、感知器の更新の目安を次のように示しています。

感知器の種類 更新の目安
煙式感知器 約10年
熱式感知器(半導体式) 約10年
熱式感知器(上記以外) 約15年

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※法定の交換期限ではなく、設置環境によってはこれより短くなることもある目安です(出典:日本火災報知機工業会「自動火災報知設備の更新のめやす」(PDF))。

設置から20年を超えた感知器で「雨の日になると鳴る」「同じ場所が繰り返し鳴る」という場合、経年による劣化が最も疑われますが、漏水・結露・配線の傷なども併せて確認します。今回の48件でも、住戸内の熱感知器が最も多く、次いで階段・通路の煙感知器でした。共用部の煙感知器は防火戸と連動していることが多く、誤報で防火戸が閉まって通行の支障になるケースもあります。

昭和60年製と記載された光電式煙感知器の裏面ラベル
住戸キッチンの熱感知器の作動表示灯が赤く点灯している様子
左:発報した煙感知器の裏面。製造年は昭和60年、設置から40年前後経過していました。右:住戸内の熱感知器が発報し、作動表示灯が点灯した状態。
エレベーター上部から取り外した汚れた煙感知器と、ほこりの積もった取付ベース
エレベーター上部の煙感知器。長年の粉塵で本体もベースも汚れており、経年による劣化で発報を繰り返していました。
受信機の地区表示で「2階・防火戸」が点灯している様子
共用部で閉まった状態の両開きの防火戸
左:受信機の「2階・防火戸」表示が点灯。右:誤報に連動して閉まった防火戸。復旧するまで通行の支障になります。

2. 湿気・結露、雨漏り、落雷

煙感知器は空気中の微粒子を光で検知しているため、湯気の微小な水滴が検知部に入り込むと、煙と同じように反応することがあります。湿度が高い日は感知器内部に結露が生じやすく、結露が回路の誤動作を招くこともあります。共用廊下・階段・倉庫・機械室など、外気に近く空調のない場所で起きやすく、梅雨時と8〜9月の雨天に集中します。今回は雨漏りで感知器が濡れたケース、湿気で受信機そのものが故障したケース、豪雨時の落雷で受信機の電源が入らなくなったケースもありました。

雨漏りで濡れた定温式熱感知器のベース内部。端子と抵抗器の周囲に青緑色の緑青が発生している
雨漏りで濡れた感知器のベース。端子まわりに緑青(青緑色の錆)が出ており、水が回っていたことが分かります。
落雷後に火災表示が出た火災受信機の表示部
受信機の電源部で焼損したヒューズを赤丸で示した写真
左:豪雨時の落雷後、受信機の表示に異常が残った状態。右:受信機内部の電源ヒューズが焼損していました(赤丸)。
屋外の壁面に設置された火災報知受信機ボックスと発信機
検電器で受信機の交流電源端子を確認し、電源が来ていないことを確かめている様子
左:屋外に設置された受信機ボックス。右:検電器で交流電源を確認したところ、受信機に電源が来ていませんでした。停電で電源が落ち、復旧の確認に出動した現場です。

3. 設置環境──換気扇の排気口、風の通り道

見落とされがちなのが、感知器の「置かれている環境」です。たとえば浴室の換気扇の排気口のすぐ近くに煙感知器があると、浴室の湯気が排気口から出るたびに発報することがあります。

もう一つ、当社が繰り返し経験しているのが、幹線道路沿いの建物や、畑に囲まれた建物で風の通り道になっている場所の煙感知器です。換気口から出る湯気に、排気ガスの粒子や土ぼこりの粒子が混ざり、湿気を帯びて感知器の防虫網に付着します。付着が進むと、湿度の高い日にそれが煙のように検知されて誤報が起きます。この場合、感知器を交換しても同じ場所で再発するため、感知器の位置や種類を、設置基準に適合する範囲で見直す必要があります。

4. 虫・ほこりの侵入

光電式の煙感知器は、煙の粒子で散乱した光を検知して作動します。検知部に小さな虫やほこりが入り込んだり付着したりすると、煙と同じように光を散乱させて非火災報の原因になります。夏場は虫が原因の誤報が増えます。今回も階段の煙感知器に蜘蛛の巣が張って発報したケースがありました。天井裏の粉塵が多い建物や、長年清掃されていない感知器でも起きやすい原因です。

天井の煙感知器の防虫網の隙間に蜘蛛の巣とほこりが詰まっている
煙感知器の防虫網に付着した蜘蛛の巣の拡大写真
階段の煙感知器に張った蜘蛛の巣(右は拡大)。防虫網の内側まで巣が入り込み、発報の原因になっていました。
階段上部から取り外した煙感知器。側面と防虫網にほこりと蜘蛛の巣が付着している
屋外廊下の天井に付いた煙感知器。防虫網に蜘蛛の巣とほこりが付いている
左:階段上部の煙感知器。右:屋外廊下の煙感知器。いずれも防虫網に蜘蛛の巣とほこりが付着しています。

5. 調理・暖房・設備の煙や熱(感知器は正常に働いている)

今回はパンを焦がして熱感知器が作動したケース、飲食店の厨房機器の異常で感知器が作動したケースがありました。

これらは機器の異常ではなく、感知器が煙や熱を正しく検知した結果です。ただし火災ではないので、結果として「誤報」として扱われます。まず発生源を確認し、そのうえで、設置基準に適合する範囲で感知器の種類や位置を見直すことで、誤報を減らせる場合があります。

火災受信機の地区表示で「温度異常設備」が点灯している様子
飲食店の受信機。「温度異常設備」の区画が点灯しており、厨房機器の異常が火災報知設備に信号として入っていました。

6. 工事・清掃の粉塵、溶剤の蒸気

内装工事や大規模修繕の期間中は、粉塵や塗料・接着剤の蒸気で誤報が頻発します。工事前に消防設備業者へ連絡し、必要な範囲の感知器に養生をするなどの対策で減らせます。ただし、工事中だからといって建物を未警戒にすることはできません。工事中の消防計画を策定し、警戒を維持したまま安全に工事を行う必要があります。また、工事が終わったら養生は必ず元に戻す必要があります。養生を外し忘れたまま何年も経過している建物を点検で見つけることが実際にあります。

7. 発信機(押しボタン)の誤操作、感知器への衝撃

共用部にある赤い押しボタン(発信機)やインターホンの緊急ボタンが押されると、感知器とは関係なく警報が出ます。酔って押してしまった、インターホンと間違えて押した、エレベーターのボタンや扉の開閉ボタンと間違えて押した、子どものいたずら、荷物が当たった、清掃中に触れた、といった原因が多く、受信機の表示で「発信機」が点灯していればすぐに判別できます。また、ドアや家具の取り外し作業中に感知器にぶつけて発報することもあります。

新しい熱感知器と、カバーが凹んだ古い熱感知器を並べた写真
ドアの取り外し作業中にぶつけられ、カバーが凹んだ熱感知器(右)と交換用の新品(左)。差動式の熱感知器は衝撃でも作動することがあります。

8. 受信機・配線の不具合、ネズミの食害

受信機本体の劣化、予備電源(バッテリー)の容量低下、配線の断線や線同士の接触でも警報は起きます(なお、配線の絶縁抵抗が下がっただけでは通常は警報にならず、絶縁低下は点検の測定で見つける不良です)。繁華街の建物ではネズミが配線を食いちぎることがあり、古い建物では被覆の剥けた電線が狭い場所を通っていて、何かに接触するたびに誤報が出ることもあります。

受信機内部。トラブル番号の表示が点灯し、2011年製の予備電源バッテリーが見える
受信機の予備電源バッテリーの電圧をテスターで測定している様子
左:受信機のトラブル表示が点灯。予備電源のバッテリーは2011年製でした。右:バッテリーの電圧を測定し、容量低下を確認して交換しました。
感知器ベースから出た配線の芯線に緑青が発生し断線している箇所を赤丸で示した写真
配線の芯線に緑青(青緑色の錆)が出て断線していた箇所(赤丸)。トラブル警報の原因でした。

結論から言うと、ネズミにかじられただけでは点検で「異常なし」と出ることがあります。湿度の高い日だけ誤報が出る場合は、配線の傷も疑う必要があります。理由は次のとおりです。

ネズミが噛んで被覆が剥けただけでは、絶縁抵抗は落ちないことが多いのです。絶縁抵抗は線と大地の間、または線と線の間で測るため、芯線が空気中に露出しているだけで他に触れていなければ、測定値は正常のままです。露出した芯線が鉄骨や金属管などの接地された金属に触れる、別の線と触れ合う、あるいは湿気やほこりが露出部分に乗って初めて、誤報(線同士の接触)や絶縁低下(点検時の測定値の低下)として表れます。点検で「絶縁抵抗は正常」と出ていても噛み跡が存在し得るのはこのためです。完全に噛み切られた場合は断線となり、多くの受信機ではトラブル警報として出ます。火災表示になるか断線・故障表示になるかは、設備の方式と損傷箇所によって異なります。ネズミの通過で配線が動き、一時的に接触するケースもあります。

ネズミの侵入と配線のかじり被害の図解。害虫がいる環境に注意、小さな隙間から侵入、電線をかじって隙間を広げる、食べるためとは限らない、の4コマ
ネズミは害虫の多い建物に狭い隙間から入り、通り道を広げるために配線をかじります。かじられた被覆は、別の線と触れれば誤報、接地された金属に触れれば絶縁低下の原因になります。※イメージ図です。

配線や受信機が原因の場合は受信機に「故障」や「断線」の表示が出ることが多く、感知器を交換しても直りません。配線の修理や受信機の更新が必要になります。

コラム:現場で実際にあった「鳴った理由」

今回の48件とは別に、当社が過去に対応した中で印象に残っている事例をいくつかご紹介します。物件が特定されないよう、細部は変えています。

  • 決まった時間に鳴る地下2階──繁華街のビルで、深夜の同じ時刻に自火報が鳴る。調べると、煙感知器の真下で夜中の2時から焼肉パーティーが開かれていました。感知器は正常に煙を検知していたのです。
  • 冷蔵庫の上のパン焼き機──冷蔵庫の上にパン焼き機が置かれ、その真上に感知器。パン焼き機を開けてしばらくすると発報していました。
  • 手作りステージの上の焼肉──リビングを改造してステージのようなものを作り、天井に近いその上でホットプレートを使って家族で焼肉。天井までの距離が縮まり、煙と熱が感知器に直接届いて作動しました。
  • 熱感知器にドライヤー──熱感知器に直接ドライヤーの温風を当てていたケース。差動式熱感知器は急な温度上昇で作動します。
  • ネズミと電線──繁華街でネズミが配線を食いちぎっていたケース。狭い場所を通る被覆の剥けた電線が、何かに触れるたびに誤報を出していたケース。
  • 「電波障害」の正体はガスのスイッチ──今年8月、新宿区の建物で「特定小規模施設用自動火災報知設備(無線式)に電波障害が出ている」と連絡を受けて日中に伺うと、火災報知設備は正常。鳴っていたのは、近くのガス器具のスイッチが入ったままになっていた警告音でした。
冷蔵庫の上に置かれたオーブンを開けた後、立ち上った煙と湯気で真上の天井の感知器が作動しているイラスト
冷蔵庫の上のオーブン(パン焼き機)を開けると、煙と湯気がそのまま真上の感知器へ。設置位置と使い方が重なると、正常な感知器でも鳴ります。※実際の事例をもとにしたイメージです。設置方法を推奨するものではありません。
リビングに作った手作りのステージの上でホットプレートを囲んで焼肉をする家族と、その真上の天井にある感知器に煙が向かっているイラスト
手作りステージの上でホットプレート焼肉。天井までの距離が縮まり、煙と熱が感知器に直接届きます。感知器は正常に働いただけです。※実際の事例をもとにしたイメージです。

これらに共通するのは、「何が原因か全く分からない」ということはほとんどないという点です。発報の時刻や場所に規則性があれば、そこに原因があります。感知器の下で何が行われているか、感知器の周りに何が置かれているかを見れば、はっきりした原因が見つかるのが普通です。

管理者向け:非常ベルが鳴ったときの操作手順

オーナー様・管理会社様・管理員の方が、業者に電話する前にできることがあります。大原則は、誤報と決めつけず、安全を確保したうえで火災でないことを確認してから止めることです。受信機の操作方法は機種によって異なりますので、以下は一般的な流れとしてお読みください。

手順 やること ポイント
受信機の表示を見る どの階・どの区域が発報しているかを確認。「発信機」の表示があればボタンが押されています。
発報場所を確認する 煙・焦げ臭さ・熱がないか確認。少しでも火災の疑いがある、または安全に確認できない場合は119番通報を優先してください。
音響(ベル)を止める 火災でないと確認できたら、受信機の「主音響停止」「地区音響停止」で止めます。
復旧する 「復旧」ボタンで火災表示を消します。復旧後に再び発報する場合は、感知器・配線・受信機・設置環境のいずれかに原因があり、調査が必要です。
音響停止を戻す 止めたスイッチを必ず元に戻します。戻し忘れると、次に本当の火災が起きてもベルが鳴りません。

※表が切れている場合は横にスクロールできます →

やってはいけないこと

  • 受信機の主電源を切る──建物全体が火災を検知できなくなります。
  • 感知器を外して放置する──その区域は無防備になり、点検でも指摘の対象になります。
  • 音響停止スイッチを入れたままにする──「鳴らないようにしておいた」状態で本当の火災を迎える建物が実際にあります。

「感知器を外すな」と、業者の一時措置は何が違うのか

当社も、入居者様不在などで交換できない場合に、オーナー様および消防隊の許可をいただいたうえで、発報している回線や特定の回路のみを一時的に未警戒にすることがあります。管理者様が感知器を外すことと何が違うのかというと、「どの範囲が監視できなくなるかを把握し、管理者様と協議し、必要に応じて所轄消防署と対応を確認し、復旧までの巡回や火気管理などの代替措置と復旧の日程を決めたうえで行う」点です。切り離した範囲が分からないまま放置されると、その状態が何年も続くことになります。一時措置は、必ず期限のある応急処置として行う必要があります。

ご契約のお客様には点検時に受信機の操作をご案内していますので、分からない場合は無理に操作せず、お電話ください。

こんなときは業者への出動依頼が必要です

次のような場合は、ご自身での復旧では解決しません。感知器や部品の交換、原因調査が必要になりますので、出動をご依頼ください。

  • 復旧してもすぐに再発報する、または同じ場所が繰り返し鳴る
  • 受信機に「故障」「断線」「電源異常」などの表示が出ている、または火災警報とは別の障害音が鳴っている
  • 受信機の表示を見ても発報場所が分からない、または表示と現場が一致しない
  • 感知器のランプが点灯したまま消えない
  • 音響停止・復旧の操作をしてもベルが止まらない
  • 消防隊が受信機の電源を切る、配線を切るなどの措置をして帰った
  • 工事や修繕の期間中で、感知器の養生や一時的な措置が必要

誤報が続く建物では、入居者様が「またか」と警報を無視するようになります。これが最も危険な状態です。初回から原因を確認し、再発した場合は設備全体の更新も検討することをおすすめしています。

出動費用の目安と、夜間・休日対応の条件

夜間・休日の緊急出動は、契約先のお客様に限っています

当社の誤報・トラブル警報への緊急出動、とくに夜間・休日の対応は、定期点検契約を継続的にご依頼いただいているお客様で、緊急対応費用(人員が動いた場合の対応費用)のお支払いにご同意いただいているお客様に限って行っています。日頃から点検で建物の設備構成を把握しているため、到着後すぐに原因の見当がつき、必要な部品を持参できるからです。お盆・年末年始も対応しています。

出動した結果として鳴動が収まっていても、出動費用がかかることをご納得いただけるお客様に限り対応しています。到着時に警報が止まっていることは珍しくありませんが、原因の確認と復旧、再発の有無の判断のために人員が動いている以上、費用をいただいています。

お客様 対応
定期点検をご契約中で、緊急対応費用にご同意いただいているお客様 夜間・休日、お盆・年末年始を含めて緊急出動します。時間外の連絡方法はご契約時にご案内しています。
点検契約のないお客様 受付時間内(平日・土曜 9:00〜19:00)にお電話ください。対応エリア内であれば、日中の原因調査・修理を可能な範囲で承ります。夜間・休日の緊急出動は行っていません。
お問い合わせフォーム 緊急対応の受付には使えません。点検契約や設備更新のご相談にご利用ください。

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繰り返し鳴る建物で「鳴った箇所だけ交換」を続けることはお断りしています

もう一つ、率直にお伝えしておきたい条件があります。定期点検をご契約いただいている建物であっても、同じ建物で何度も鳴っているのに、そのつど原因となった感知器1個だけを交換する対応を続けることは、お断りしています。

理由は4つあります。第一に、再発が続くと入居者様の不安が増し、警報に慣れて無視するようになる点。第二に、同じ時期に設置された他の感知器も同程度に劣化が進んでいる可能性が高く、1個交換しても別の感知器で発報が続くことが多い点。今回の集計でも、同じ建物から2回以上の要請があった4棟はいずれもこのパターンでした。第三に、交換のたびに工事内容と所轄消防署の取扱いに応じた届出が必要になり、同じ建物で届出を何度も繰り返すことになる点。第四に、夜間・早朝の出動が同じ建物に集中すると、他のお客様の建物への緊急対応体制に支障が出る点です。

こうした建物では、感知器の一斉更新(必要に応じて受信機の更新)をご提案し、その工事をもって誤報対応の区切りとさせていただいています。「毎回出動してもらった方が安い」と思われがちですが、夜間の出動費が積み重なった総額と一斉更新の費用を比較してご提案しており、更新の方が安く済むことが多いのが実情です。

出動費の目安

緊急出動には費用がかかります。当社では、出動する時間帯と曜日によって出動費を区分しています。目安は次のとおりです。

緊急出動費の目安(税込)
区分 出動費
平日・土曜日 日中(9時〜18時) 22,000円〜
平日・土曜日 夜間(18時〜22時) 33,000円〜
平日・土曜日 深夜・早朝(22時〜翌9時) 39,600円〜
日曜日・祝日 日中(9時〜18時) 33,000円〜
日曜日・祝日 夜間(18時〜22時) 49,500円〜
日曜日・祝日 深夜・早朝(22時〜翌9時) 60,500円〜

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  • 上記は出動・原因調査・復旧作業の費用です。感知器や受信機の部品を交換する場合は、別途、交換部品代と交換の工賃がかかります。
  • GW・お盆休み・年末年始は、別途割増料金がかかることがあります。
  • 建物の規模・所在地・作業内容によって変動しますので、出動前にお電話で概算をお伝えし、ご了承いただいてから出動します。
  • ご契約内容によって取り扱いが異なる場合は、ご契約内容を優先します。

誤報を減らすためにできること

古い感知器は計画的に更新する

今回の集計では、48件中29件を感知器の経年による劣化と判断しました。1個ずつ鳴るたびに交換していると、夜間の出動費を何度も払いながら、結果的に何年も誤報に付き合うことになります。設置から15〜20年を超えた建物では、感知器を一斉に交換する方が、出動費の積み重ねより安く済むことが多く、当社でも多くの共同住宅で一斉更新を行っています。事例は点検・施工事例をご覧ください。

設置環境に合った感知器に見直す

浴室の換気扇の排気口の近くや、風の通り道に煙感知器が付いている場合は、設置基準に適合する範囲で感知器の種類や位置を見直すことで、誤報を減らせる場合があります。消防法上どの種類の感知器が使えるかは場所によって決まっているため、消防設備士にご相談ください。

工事の前に消防設備業者へ連絡する

内装工事や大規模修繕を行う際は、着工前に感知器の養生や一時措置をご相談ください。工事中の誤報は、工事業者・管理会社・消防設備業者の三者で連絡がとれていれば、ほぼ防げます。

定期点検の記録を、更新の判断に使う

消防法で定められた消防設備点検(機器点検・総合点検)では、感知器の作動試験や受信機の確認を行います。点検で誤報を予見できるわけではありませんが、作動状況・外観・設置年数・過去の発報履歴を合わせて見ることで、更新の優先順位を判断できます。当社では点検報告の際に、更新をおすすめする感知器や受信機をお伝えしています。

よくあるご質問

Q. 誤報かどうか分からないとき、119番してよいですか?

A. はい。火災の疑いが少しでもある、または安全に確認できない場合は通報してください。誤報か判断できない場合も、その状況をそのまま119番で伝えていただければ大丈夫です。火災でないことをご自身で安全に確認できた場合は、通報せず復旧して差し支えありません。

Q. 誤報が続く場合、感知器を外しておいてもよいですか?

A. ご自身の判断で取り外したままにしないでください。感知器を外すとその区域の火災を検知できなくなり、消防設備点検でも不備として報告されます。原因の多くは感知器の交換で解決しますので、外す前にご相談ください。

Q. 夜間や休日でも出動してもらえますか?

A. 定期点検契約を継続的にご依頼いただき、緊急対応費用のお支払いにご同意いただいているお客様に限り、夜間・休日、お盆・年末年始も出動しています。到着時に鳴動が収まっていた場合も出動費用はかかります。時間外の連絡方法はご契約時にご案内しています。点検契約のないお客様は、受付時間内(平日・土曜 9:00〜19:00)にご相談ください。

Q. 出動したその日に感知器を交換してもらえますか?

A. 当社では主要な感知器・受信機の部品を各拠点と倉庫に在庫しているため、住戸に入れる状況であれば当日中に交換して完了できることがほとんどです。入居者様不在で住戸に入れない場合は、オーナー様および消防隊の許可をいただいたうえで、発報している回線のみを一時的に未警戒にし、後日改めて交換に伺うこともあります。特殊な機種や生産終了品の場合は、代替機種のご提案や後日の対応になることがあります。

Q. この前点検して「異常なし」だったのに、なぜ誤報が起きるのですか?点検で分からないのですか?

A. お叱りをいただくこともありますが、率直にお答えします。消防設備点検は「今、正常に作動するか」を確認するもので、「近いうちに誤報を起こしそうか」を予測するものではありません。点検では、設備の方式に応じて感知器の作動確認(加熱・加煙による作動試験など)を行い、外観の異常や配線の絶縁抵抗を確認します。これらがすべて基準内であれば「異常なし」と報告します。しかし、経年により劣化した感知器は、点検時には正常に反応しても、その後の湿度や温度、使用環境の変化で非火災報を起こすことがあり、点検の試験だけで事前に見分けることは困難です。

では半年に1回の点検は何のためかというと、本当の火災のときに確実に鳴ること、そして劣化で反応しなくなる感知器を見つけることのためです。誤報は「鳴りすぎる」方向の不良、点検で見つけるのは主に「鳴らない」方向の不良で、同じ劣化でも表れ方が逆です。点検直後の発報だけで、点検の不備とは判断できません。当社では点検記録(設置年数・過去の発報履歴・作動状況)と発報時の状況を照合して原因を確認し、誤報が続く場合は点検報告書をもとに更新のご相談をさせていただきます。

絶縁抵抗計で感知器回路の絶縁抵抗を測定している様子
点検で使う絶縁抵抗計。配線の絶縁抵抗は点検で確認しますが、劣化した感知器が「近く誤報を起こすか」までは測定できません。

Q. 竣工時に高い費用をかけて設置したのに、もう交換が必要なのですか?

A. 感知器は電子機器なので寿命があります。日本火災報知機工業会の更新の目安は、煙式と半導体式の熱式で約10年、それ以外の熱式で約15年です(第3章の表)。機器の故障率は、設置直後にやや高く、その後は長期間低く安定し、耐用年数が近づくと再び上がる「バスタブ曲線」と呼ばれる形をとります。設置年数の経過した建物で誤報が増えてきた場合、この曲線の右側、故障率が上がり始める時期に入っている可能性があります(配線や受信機の不具合など、感知器以外の原因がないことを確認したうえでの判断です)。この段階では、鳴った感知器を1個ずつ交換しても、別の感知器で発報が続く場合があります。同じ時期に設置した感知器は同程度に劣化が進んでいる可能性が高いためで、一斉更新をおすすめしているのはそのためです。

感知器の故障率と使用年数の関係を示すバスタブ曲線。初期故障期、偶発故障期、摩耗故障期の3区分と更新の目安(10〜15年)
感知器の故障率は「バスタブ曲線」を描きます。設置年数の経過した建物で誤報が増えてきたら、右側の摩耗故障期に入っている可能性があります。

Q. たばこの煙で誤報は起きますか?

A. 起きることはありますが、当社の経験では思われているよりずっと少なく、今回の48件では0件でした。「たばこのせい」と決めつけて放置すると、経年劣化や設置環境といった本当の原因を見逃します。

まとめ

  • 2026年8月16日〜9月15日の1か月で、当社は非火災報43件(その他を含む)・トラブル警報5件の計48件に緊急対応。うち29件(60%)は感知器の経年劣化と判断した事例で、48%が夜間・早朝の出動、9月1〜15日に33件が集中しました。たばこが原因のものは0件でした。
  • 誤報の原因は、感知器の経年劣化・湿気や雨漏り・設置環境・虫やほこり・調理の煙や湯気・工事の粉塵・ボタンの誤操作・受信機や配線の不具合に大別されます。調査すれば、原因が分からないままということはほとんどありません。
  • 鳴ったら、誤報と決めつけず安全を確保し、火災でないことを確認してから音響停止→復旧→スイッチを戻す。主電源を切ったり、感知器を外して放置したりしてはいけません。
  • 復旧しても再発する、故障表示が出ている場合は出動が必要です。夜間・休日の緊急出動は、定期点検契約と緊急対応費用への同意をいただいているお客様に限って行っています。繰り返し鳴る建物で部分交換だけを続けることはお断りし、一斉更新をご提案しています。
  • 誤報が続く建物は、感知器の一斉更新で解決することが多く、結果的に費用も抑えられます。

チヨダ防災は1976年の創業以来、東京・神奈川・埼玉・千葉で消防設備の点検・工事を自社施工で行っています。誤報でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

火災報知器の誤報トラブルでお困りの方で、
定期点検契約の見直しもご検討中の方はチヨダ防災へ

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新宿本社 03-6233-9821
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※ご契約中のお客様の時間外のご連絡は、ご契約時にご案内した連絡先へお願いします。

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