
公開日:2026年8月28日
この記事の要点
- 現場・症状:東京都板橋区の2階建て保育園で、湿気の影響により自動火災報知設備の火災受信機が故障
- 受信機交換:当社で在庫していた機種だったため、納期を待たずに即日・数時間で交換
- バッテリー交換:製造から8年が経過した火災通報装置と、点灯時間が低下した非常灯のバッテリーを別日に数時間で交換
- 工事費用:2つの工事あわせて合計116万8,200円(税込)。機器・交換工事・消防への届出・試験調整を含む
- 安全確認:全6警戒区域の火災試験・断線検出の確認・絶縁抵抗測定を実施し、正常動作を確認
保育園やこども園では、小さなお子さまが日中を過ごすという建物の性質上、火災をいち早く知らせる設備が確実に動くことがなにより重要です。今回は、火災受信機の故障をきっかけにご相談いただいた保育園での交換工事と、同じ建物で実施したバッテリー交換工事をご紹介します。
「受信機が故障したらどうなるのか」「交換にどのくらいの時間と費用がかかるのか」が分かる内容になっています。費用とよくあるご質問も掲載していますので、保育施設の管理をされている方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
工事の概要
| 所在地 | 東京都板橋区 |
|---|---|
| 建物用途 | 保育園(2階建て) |
| 工事内容 | 火災受信機の交換/火災通報装置のバッテリー交換/非常灯のバッテリー交換 |
| 工期 | 火災受信機の交換:数時間(即日対応) バッテリー交換:別日に数時間 |
| 工事金額 | 116万8,200円(税込・2つの工事の合計) |
※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。
ご依頼のきっかけ:湿気による火災受信機の故障
こちらの保育園は、当社が消防設備点検を10年以上お任せいただいている施設です。今回、湿気の影響で自動火災報知設備の火災受信機本体が故障していることが分かり、交換のご依頼をいただきました。
交換前の火災受信機
火災受信機は、建物内の感知器や発信機からの信号を受け取り、ベルを鳴らして火災を知らせる、自動火災報知設備の「心臓部」にあたる機器です。受信機が故障したままでは、感知器が火災をとらえても建物内に警報が伝わらないおそれがあり、そのまま放置することはできません。
在庫していた機種だったため、納期を待たずに即日交換
今回交換した火災受信機は、当社で普段から在庫している機種でした。そのため、メーカーへの発注・納期を待つことなく、即日で交換できました。現場での作業時間は数時間です。
受信機は建物ごとに必要な仕様が異なるため、通常は発注から納品まで一定の納期がかかります。当社では各支店に加え、千葉支店や横浜本社の倉庫など機器を多めに保管している拠点があり、拠点間の在庫は社内システムで共有しています。今回のように「故障したので早く直したい」というご要望には、他の拠点まで在庫を取りに行って即日で交換することもあります。
火災受信機の交換工事
既設の受信機を取り外し、新しいP型1級受信機を取り付けました。今回は受信機本体のみの交換で、建物内の感知器やベルはそのまま使用しています。
旧受信機を撤去した状態。既設の配線を活かして新しい受信機に接続します
新設した火災受信機
新しい受信機の銘板。2026年製のP型1級受信機です
受信機の内部には、どの警戒区域の配線がどの端子につながっているかを記録する「C線表」があります。交換の際は、既設の配線を一本ずつ確認しながら新しい受信機に接続し、C線表にも正しく記入します。こうした記録を残しておくことが、将来の点検や改修のしやすさにつながります。
警戒区域と配線の対応を記録するC線表
受信機内部の予備電源バッテリー。停電時にも火災を監視できるようにするための電源です
また、受信機は誰でも操作・確認ができるよう、操作スイッチの高さが床面から0.8m以上1.5m以下(いすに座って操作する場合は0.6m以上1.5m以下)となるように設けることが定められています(消防法施行規則第24条)。取り付けの際は、メジャーで高さを確認しながら設置します。
操作部の高さを確認しながら取り付けます
分電盤には消防設備の専用回路が設けられています(誘導灯・自火報受信機・火災通報装置・漏電火災警報器)
2階建てでも警戒区域は6つ
「2階建てなら、警戒区域は1階と2階の2つでは?」と思われるかもしれません。実はこちらの保育園では、警戒区域を6つに分けています。
| 回線 | 警戒区域 |
|---|---|
| ① | 1階 |
| ② | 1階 天井裏 |
| ③ | 2階 |
| ④ | 2階 天井裏 |
| ⑤ | 階段 |
| ⑥ | ダムウェーター(給食用リフト) |
天井裏に感知器が設けられている建物では、天井裏を別の警戒区域として分けることがあります。また、階段のような縦方向につながる部分(たて穴区画)は、煙が上りやすいため階ごとの区域とは別に警戒します。こちらの保育園には給食を運ぶダムウェーター(給食用リフト)があり、これも建物を縦に貫く部分として独立した警戒区域になっています。
警戒区域が分かれていると、火災の際に「どこで感知したのか」が受信機の表示ですぐに分かり、避難や初期対応の判断がしやすくなります。
交換後の試験調整
受信機は取り付けて終わりではありません。交換後は、すべての警戒区域について火災試験を行い、信号を正しく受信して表示・鳴動することを一つずつ確認します。
回線ごとに火災試験を行い、対応する地区窓の点灯を確認します
6つの警戒区域すべてで試験を実施
あわせて、感知器の配線が切れた場合に受信機が「断線」を検出できることも確認します。P型1級受信機には配線の導通を試験する機能が備わっており、今回設置した機種では、断線を自動で検出して画面に表示します。
配線の断線を受信機が検出・表示することを確認
さらに、絶縁抵抗計を使って配線の絶縁状態を測定します。数値で確認することで、既設の配線をそのまま使って問題がないかを客観的に判断できます。
絶縁抵抗計で配線の絶縁状態を測定
火災通報装置のバッテリー交換
火災通報装置は、火災時にボタンを押すと、あらかじめ蓄積された音声で消防機関(119番)へ自動的に通報される設備です。保育園のように、火災時に職員が園児の避難誘導にあたる必要がある施設では、通報の負担を減らせる重要な設備です。
火災通報装置。停電時はバッテリーで動作します
この装置には停電時用のバッテリーが内蔵されており、使用している機種のメーカーが示す交換目安は5年とされています。こちらの施設では製造から8年が経過したバッテリーが使われていたため、交換を実施しました。
※バッテリーの交換時期は、機種・メーカー・使用環境により異なります。
火災通報装置のバッテリーを新品に交換
交換後は、テスターで電圧を測定し、正常な値であることを確認します。
交換後に電圧を測定し、数値で確認します
非常灯のバッテリー交換
非常灯(非常用照明装置)は、停電時に内蔵バッテリーで点灯し、避難経路を照らす照明です。消防法に基づく設備とは別に、建築基準法に基づいて設置される設備で、予備電源で30分間点灯できることが求められています。当社では消防設備点検とあわせて、建築基準法12条点検にも対応しています。
こちらの施設では、バッテリー作動時の点灯時間が著しく低下していました。原因は内蔵バッテリーの経年劣化です。
停電時に非常灯が正常に点灯しないと、避難経路の視認性が確保できず、避難に支障をきたすおそれがあります。特に保育園では、暗がりの中で小さなお子さまを誘導しなければならない場面も想定されるため、確実に点灯する状態を保つことが大切です。
経年劣化した非常灯のバッテリー(右)を新品(左)に交換
器具本体はそのまま使用できる状態だったため、今回はバッテリーのみの交換としました。非常灯は本体ごと交換する方法とバッテリーのみ交換する方法があり、器具の状態や製造年数によって適切な方法をご提案しています。
交換後、1台ずつ点灯を確認します
バッテリー作動時の点灯確認
階段の踊り場など高い位置に設置されている器具は、脚立などを使った高所作業になります。安全に配慮しながら、すべての器具の交換と点灯確認を行いました。
階段部の器具は高所作業での交換になります
工事費用
| 工事内容 | 金額(税込) |
|---|---|
| 火災受信機の交換+火災通報装置・非常灯のバッテリー交換(機器・交換工事・高所作業・消防への届出・試験調整・諸経費を含む) | 合計 116万8,200円 |
※建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により費用は異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。
火災受信機の交換費用は、受信機の種別(P型2級かP型1級か)や回線数、消防への届出の要否によって変わります。本事例はP型1級受信機で、着工届・設置届の作成届出、消防検査への対応、全警戒区域の試験調整までを含んだ金額です。
よくあるご質問
Q. 火災受信機が故障したまま放置するとどうなりますか?
A. 感知器が火災をとらえても建物内に警報が伝わらないおそれがあり、大変危険です。また、消防法では、防火対象物の関係者に消防用設備等を基準に従って維持することが求められています。故障が分かったら、できるだけ早く消防設備業者にご相談ください。
Q. 在庫があれば、すぐに交換してもらえますか?
A. はい。当社では各支店だけでなく、千葉支店の倉庫や横浜本社の倉庫など機器を多めに保管している拠点があり、消防署に確認の上、速やかに交換することが可能です。拠点間の在庫は社内システムで共有しているため、他の拠点に在庫を取りに行って即日で交換することもあります。埼玉支店と町田支店も新築する予定で、大田区にも支店を作るため、より幅広いエリアで速やかな対応をすることが可能になります。ただし、受信機は建物ごとに必要な仕様が異なるため、既設の設備との適合確認のうえで対応方法と日程をご案内します。
Q. 受信機だけの交換で、感知器はそのまま使えますか?
A. 感知器や配線の状態に問題がなければ、受信機のみの交換が可能です。本事例でも、絶縁抵抗の測定や導通・火災試験で既設設備の健全性を確認したうえで、受信機のみを交換しています。感知器側にも劣化がある場合は、あわせて交換をご提案することがあります。
Q. 保育園を運営しながら工事はできますか?
A. 本事例では、受信機の交換は数時間、バッテリー交換は別日に数時間で完了しています。施設の運営状況に合わせて、作業の日程や時間帯を調整いたしますので、お気軽にご相談ください。
Q. 火災通報装置や非常灯のバッテリーは、どのくらいで交換が必要ですか?
A. 火災通報装置のバッテリーは、メーカー推奨の交換目安が5年です。非常灯の内蔵バッテリーは、点検時の点灯時間の低下が交換のサインになります。いずれも半年に1回の消防設備点検で状態を確認できますので、点検結果をもとに計画的な交換をおすすめします。
保育園・こども園の消防法・建築基準法の点検・工事はチヨダ防災へ
今回は、東京都板橋区の保育園で実施した火災受信機の交換と、火災通報装置・非常灯のバッテリー交換をご紹介しました。受信機の故障という緊急性の高いご依頼でしたが、在庫機種だったこともあり、納期を待たずに即日・数時間で交換を完了できました。
チヨダ防災株式会社は1976年の創業以来、保育園・幼稚園をはじめとする多くの施設で消防設備の点検・工事を行ってきました。消防設備点検をお任せいただいている施設では、点検の中で機器の劣化やバッテリーの状態を継続的に確認し、今回のように必要なタイミングで交換をご提案しています。
板橋区をはじめとする東京都内の保育園・幼稚園・こども園の消防法・建築基準法に基づく点検、火災受信機の交換、火災通報装置や非常灯のバッテリー交換まで、幅広く対応しています。東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)の各拠点から、一都三県を中心にお伺いします。現地調査・お見積りは無料です。
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この記事の監修者
チヨダ防災株式会社 埼玉支店 畠山 治(在籍3年目)
消防設備士 甲種第4類・第5類/乙種第6類・第7類/第二種電気工事士
本記事の工事は、監修者の畠山が担当しました。



