
公開日:2026年8月31日/最終更新日:2026年8月31日
この記事の要点
東京都新宿区の店舗併用共同住宅(48世帯)で、経年した自動火災報知設備を自動試験機能付きの機器(受信機・総合盤14台・感知器270台)へ一斉リニューアルし、定期点検時の居室内での作業時間短縮まで見据えた更新を行った施工事例です。
- 場所・規模:東京都新宿区の共同住宅(店舗併用)で、自動火災報知設備を一斉リニューアル
- 工事内容:受信機(P型1級)・総合盤14台・地区ベル・感知器270台の交換に、届出・試験調整まで含めて一括対応
- 最大のポイント:自動試験機能付きの受信機・感知器を採用。定期点検の際の居室内での作業時間を短縮でき、作動履歴が残るため誤作動時の原因特定も容易
- 入居中でも施工可能:出向10回、住戸ごとに日程を調整しながら交換
- 長年のご依頼に値引きで還元:消防設備点検などを長くご依頼いただいているお客様のため、工事費用を値引き
- 届出・検査も一括:着工届・設置届の作成・届出から消防検査の立会いまで当社が対応
この記事の監修者
小野津 修(チヨダ防災株式会社 新宿本社 副事業所長)
消防設備士 甲種第1類・第4類・第5類/乙種第6類・第7類、第二種電気工事士、防火対象物点検資格者。本記事の工事は、監修者の小野津が担当しました。
「マンションの火災報知設備が古くなってきたが、入居者がいる中で交換工事なんてできるのか」「定期点検のたびに、設備の経年劣化を指摘されている」——共同住宅のオーナー様や管理会社のご担当者様から、こうしたご相談をよくいただきます。
今回は、東京都新宿区の共同住宅(1〜2階に店舗が入る48世帯の建物)で実施した、自動火災報知設備の一斉リニューアル工事をご紹介します。火災受信機・総合盤・地区ベルに加え、感知器270台を交換した大規模な更新工事です。新しい受信機には自動試験機能付きのタイプを採用し、定期点検の際の居室内での作業時間を短くする工夫も行いました。工事の内容と進め方、費用の考え方まで、実際の写真とあわせて解説します。
目次
工事の概要
今回の工事の概要は次のとおりです。
| 所在地 | 東京都新宿区(新宿本社からすぐの地元案件です) |
|---|---|
| 建物用途 | 店舗と住居(48世帯)が入る複合用途ビル〔消防法別表第一(16)項イ〕 |
| 建物規模 | 地下1階・地上5階建 |
| 工事内容 | 自動火災報知設備の一斉リニューアル(火災受信機〔P型1級・自動試験機能付き〕の交換と管理人室から共用部への移設、総合盤14台、地区ベル、熱感知器・煙感知器 計270台の交換) |
| 施工時期 | 2026年1月〜6月 |
| 工期 | 出向10回 |
| 消防手続き | 着工届・設置届の作成・届出、消防検査の立会い |
感知器の内訳は、差動式熱感知器128台、定温式熱感知器110台、光電式煙感知器32台の合計270台です。住戸・店舗・共用部を含めた建物全体の感知器を、受信機・総合盤とあわせて一斉に交換しました。
工事のきっかけ
今回の建物では、定期的な消防設備点検で、自動火災報知設備の経年による劣化を指摘していました。また、火災受信機が常時人がいるわけではない管理人室に設置されており、火災時にすぐ確認できる場所にあることが望ましいため、リニューアルにあわせて共用部分への移設をご提案しました。
自動火災報知設備は、受信機・感知器とも長く使われることが多い設備ですが、経年により部品の劣化が進むと、誤作動や断線などの障害が起こりやすくなります。また、古い機種は生産終了から年数が経つと交換部品の入手が難しくなり、故障しても修理できないケースが出てきます。今回は、こうした状況を踏まえ、建物全体の一斉リニューアルをご提案しました。
ポイント①:自動試験機能付きの受信機・感知器を採用
今回の工事で最大のポイントは、新しい火災受信機に自動試験機能付きのP型1級受信機を採用したことです。
交換後の火災受信機。警戒区域一覧図とあわせて、いざというときに誰でも状況を把握できるようにしています
自動試験機能とは、感知器や配線などの機能が正常に保たれているかを、受信機が自動的に確認できる機能のことです。従来のP型受信機は、どの「警戒区域(エリア)」で火災信号が出たかまでは分かりますが、どの感知器が作動したかまでは特定できません。今回採用した受信機は、感知器1台1台に住所(アドレス)を割り当てる方式で、受信機側から個々の感知器の状態を確認できるのが特長です。今回は交換した270台すべてにアドレス設定作業を行いました。
この仕組みは、火災や誤作動(非火災報)が起きたときにも力を発揮します。どの感知器が作動したかを受信機側で特定しやすいうえ、作動の履歴が受信機に残るため、あとから原因を調べるのが容易になります。従来の設備では、警報を復旧してしまうと「どの感知器が原因だったのか分からない」ということが起こりがちでしたが、履歴をたどって原因の感知器にたどり着き、的確に対処できます。
共同住宅で自動試験が特に活きる理由
共同住宅の消防設備点検では、住戸内の感知器を確認するために入居者様にご在宅いただく必要があります。1戸あたりの作業時間が長いほど、入居者様・オーナー様に負担がかかります。
自動試験機能付きの設備でも、点検員による感知器の設置状況の確認など、住戸内での目視確認は引き続き必要です。ただし、感知器の作動試験を受信機側から行えるため、点検の際の居室内での滞在時間を短くすることができ、入居者様のご負担を減らせます。長く所有する建物ほど、更新のタイミングで自動試験機能付きを選ぶメリットは大きいと考えています。
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ポイント②:感知器270台の交換——入居中の建物での進め方
感知器は、設置場所に応じて種類を使い分けます。今回交換したのは次の3種類・合計270台です。
| 種類 | 台数 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| 差動式熱感知器(2種) | 128台 | 居室など。温度の急な上昇を感知します |
| 定温式熱感知器(特種) | 110台 | キッチン・洗面所など。一定の温度に達すると作動します |
| 光電式煙感知器(2種) | 32台 | 階段・廊下など。煙をいち早く感知します |
交換後の熱感知器は、1台ずつ加熱試験器で実際に作動することを確認します
煙感知器は加煙試験器で試験。交換して終わりではなく、確実に作動するところまで確認して引き渡します
入居者様の生活に配慮した日程調整
今回の建物は、住戸・店舗とも通常どおり使われている状態での工事です。住戸内の感知器交換には入居者様の在宅が必要になるため、事前の案内と日程調整を丁寧に行い、出向10回で建物全体の交換を進めました。長期ご不在の入居者様もいらっしゃるため、2026年1月から6月にかけて、お一人おひとりと日程を調整しながら、最後の1戸まで交換を完了しています。48世帯すべての交換をやり切るには、こうした粘り強い調整が欠かせません。
当社は創業以来、共同住宅の消防設備点検・工事を数多く手がけており、入居者様との調整業務に慣れています。半年に1回の消防設備点検で入居者様と接している経験が、こうした全戸交換の工事でも活きています。
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ポイント③:総合盤・地区ベルの交換と確実な接続替え
各階の廊下などに設置されている「総合盤」は、発信機(火災を知らせる押しボタン)・表示灯・地区ベルがひとつにまとまった機器です。今回は埋込防雨型の総合盤14台を交換し、あわせて地区ベルも更新しました。
交換前の総合盤。長年の使用で機器・部品の劣化が進んでいました
交換後の総合盤。現行のリング型表示灯は発信機の位置がひと目で分かり、視認性が大きく向上します
総合盤の内部。地区ベルも新品に交換し、配線を1本ずつ確実に接続します
既存配線を活かした確実な接続替え
機器の交換では、長年使われてきた既存の配線を活かしながら、1本ずつ回路を確認して新しい機器の端子へ正確に接続し直す必要があります。ここを疎かにすると、交換後の誤作動や不作動の原因になります。
旧総合盤を撤去して、既存配線を新しい総合盤の端子台に繋ぎかえた状態。1本ずつ回路を確認しながら、確実に接続します
屋外に面した総合盤は、壁との取り合いにシーリング処理を施し、雨水の浸入を防ぎます。目立たない部分ですが、機器を長持ちさせる大切な工程です
また、機器の交換後は、火災表示試験・断線試験や配線の絶縁抵抗測定を行い、数値で品質を確認したうえでお引き渡ししています。
コモン線(共通線)を端子から抜いて、受信機に正しく断線表示が出るかを確認する試験。正しく断線表示されれば、感知器が正しく接続されていることの確認になります
絶縁抵抗計で配線の健全性を測定。感覚ではなく数値で確認します
工事費用と、長くお付き合いいただいているお客様への値引き
今回の工事費用には、受信機・総合盤14台・感知器270台の機器代と交換工事費、アドレス設定作業、消防署への届出、試験調整までを含んでいます。
※費用は建物規模、設備構成、配線の劣化状況、施工範囲により異なります。詳しくは現地調査のうえ、お見積りいたします。現地調査・お見積りは無料です。
長年のご依頼への感謝として、工事費用を値引き
今回のお客様には、長年にわたり消防設備点検やその他の設備工事をご依頼いただいています。日頃のお付き合いへの感謝として、今回の工事費用を値引きさせていただきました。
点検と工事を同じ会社が担当すると、設備の構成・配線の状態・過去の施工内容をすべて把握したうえで対応できるため、品質と効率が上がります。当社は、こうして長くお付き合いいただけるお客様に、工事費用で還元したいと考えています。
自動火災報知設備の更新をご検討の際は、その後の点検体制もあわせてご相談いただくのがおすすめです。
消防署への届出と消防検査
自動火災報知設備の設置・改修工事のように、甲種消防設備士による工事が必要となる消防用設備等では、原則として工事に着手する10日前までに「着工届」を、工事完了後4日以内に「設置届」を消防署へ提出し、消防検査を受ける必要があります。
今回も、着工届・設置届の作成・届出から消防検査の立会いまで、当社が一括で対応しました。当社は地元の新宿消防署に消防設備業の届出を行っており、日頃からよく出入りしています。新宿区内の物件であれば、本社からすぐ駆けつけられる距離です。消防署への相談の段階から、安心してお任せください。
よくあるご質問
Q1. マンションに住みながら感知器の交換工事はできますか?
A. 今回の工事も、入居者様が住まわれたままの状態で施工しました。住戸内の作業は1戸あたり短時間で済むよう段取りし、事前の案内と日程調整を丁寧に行います。ご不在が続く住戸には個別に日程を再調整するなど、柔軟に対応します。
Q2. 自動試験機能付きの受信機にすると、消防設備点検は不要になりますか?
A. 定期点検(消防法第17条の3の3に基づく点検・報告)自体は引き続き必要です。また、自動試験機能付きの設備でも、点検員による感知器の設置状況の確認など、住戸内での目視確認は必要です。ただし、感知器の作動試験を受信機側から行えるため、居室内での滞在時間を短くでき、入居者様のご負担を減らせます。
Q3. 受信機と感知器は同時に交換しないといけませんか?
A. 必ずしも同時である必要はありませんが、受信機と感知器は方式の組み合わせに制約があり、部分交換を繰り返すと機器の対応関係が複雑になりがちです。経年が同程度であれば、一斉リニューアルの方が工事費・その後の維持管理とも合理的になるケースが多く、現地調査のうえで最適な範囲をご提案します。
Q4. 既設と違うメーカーの機器に交換できますか?
A. できます。メーカーが変わると端子構成や結線が異なるため、既存配線の確認と接続替えを正確に行う技術が必要ですが、当社は複数メーカーの機器を日常的に取り扱っており、建物に合った機種をメーカーにとらわれずご提案できます。
Q5. 工事中、火災報知設備は使えなくなりますか?
A. 交換作業中は一時的に該当範囲の機能を停止しますが、作業の区切りごとに作動する状態へ復旧しながら進めるなど、無防備な時間を最小限にする段取りで施工します。
Q6. 自動火災報知設備の一斉リニューアル費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は、受信機・総合盤・感知器の台数、配線の劣化状況、メーカー変更の有無、建物規模などにより大きく変わるため、一概には言えません。現地調査のうえ、無料でお見積りいたします。定期点検などを長くご依頼いただいているお客様には、工事費用のお値引きでお応えすることもあります。
Q7. 新宿区で自動火災報知設備の工事を依頼する場合、消防署への届出はどうなりますか?
A. 着工届・設置届の作成・提出から消防検査の立会いまで、当社が一括で対応します。当社は地元の新宿消防署に消防設備業の届出を行っており、日頃からよく出入りしています。新宿区内の物件であれば、本社からすぐの距離のため、スムーズに進められます。
まとめ
今回は、東京都新宿区の共同住宅(店舗併用)で実施した、自動火災報知設備の一斉リニューアル工事をご紹介しました。受信機・総合盤・地区ベル・感知器270台の交換に、自動試験機能付きの機器を採用することで、その後の定期点検での居室内の作業時間まで見据えた更新となりました。
自動火災報知設備の更新は、機器を新しくするだけでなく、「その後の点検をどう楽にするか」「入居者様の負担をどう減らすか」まで含めて計画することで、建物の価値を長く守ることにつながります。定期点検の結果で経年劣化を指摘されている建物、誤作動が増えてきた建物は、お早めにご相談ください。新宿区内の物件であれば、新宿本社からすぐに駆けつけられます。
自動火災報知設備のリニューアルは、チヨダ防災にご相談ください
チヨダ防災株式会社は1976年創業。東京都(新宿本社/町田支店)、神奈川県(横浜本社)、埼玉県(川口市)、千葉県(市川市)を拠点に、消防設備の点検・工事を自社施工で行っています。現地調査・お見積りは無料です。工事後の定期点検まで、一括してお任せいただけます。



