
公開日:2026年9月2日
この記事の要点
- 神奈川県川崎市川崎区・築39年・地上9階建ての共同住宅で、連結送水管の配管耐圧試験(配管の耐圧性能点検)と、消防設備点検で指摘された感知器・地区音響装置(ベル)・避難ハッチの不具合是正をまとめて実施しました。
- 連結送水管は配管の設置から10年を経過すると、3年ごとに配管の耐圧性能点検が必要です。乾式配管に注水し、所定の圧力を3分間かけて漏水や変形がないことを確認しました。
- 着工届・設置届・耐圧性能点検の報告書は当社が作成し、建物関係者様に代わって所轄消防署への提出まで対応しました。
この記事の監修者
松田 祥吾(チヨダ防災株式会社 横浜本社)
消防設備士 甲種第1類・第4類・第5類/乙種第6類・第7類、第二種電気工事士。横浜本社で3年半、神奈川県内および東京都大田区を中心に消防設備の点検・工事に従事。
本記事の工事は、監修者の松田が現地調査から施工まで担当しました。
「消防設備点検の報告書に不具合がいくつも書かれているが、どれを、どの順番で直せばよいのかわからない」。マンションの管理会社様やオーナー様から、こうしたご相談をよくいただきます。
今回ご紹介するのは、神奈川県川崎市川崎区にある築39年・地上9階建ての共同住宅で、連結送水管の配管耐圧試験(配管の耐圧性能点検)と、点検で指摘された自動火災報知設備・避難ハッチの不具合是正を一度の工事でまとめて行った事例です。設備ごとに業者を分けず、消防署への届出まで一括で対応しました。
工事の概要
| 所在地 | 神奈川県川崎市川崎区 |
|---|---|
| 建物 | 共同住宅/地上9階建て/築39年 |
| きっかけ | 連結送水管の耐圧性能点検の時期到来と、消防設備点検での不具合指摘 |
| 工事内容 | ・連結送水管の配管耐圧試験(配管の耐圧性能点検・乾式・1系統) ・差動式スポット型感知器の交換(5箇所) ・地区音響装置(ベル)の交換(1箇所) ・避難ハッチ(改修用・ステンレス製)と避難はしご(7段)の交換、防水処理(1住戸) ・着工届・設置届・耐圧性能点検報告書の作成と提出 |
| 施工時期 | 2026年5月〜8月 |
| 工期 | 出向7日間(耐圧性能点検・住戸内工事・バルコニー工事を日程を分けて実施) |
| 施工担当 | チヨダ防災株式会社 横浜本社 |
建物の規模や設備構成、不具合の内容によって工事の内容・費用は異なります。現地調査とお見積りは無料で承っていますので、点検報告書をお手元にご相談ください。
連結送水管の配管耐圧試験
連結送水管とは
連結送水管は、消防隊が使う消火活動上必要な施設です。建物の1階まわりにある「送水口」に消防ポンプ車からホースをつないで送水し、各階の「放水口」から消防隊が放水します。消防法令により、階数が7以上の建物や、5階以上で延べ面積が6,000㎡以上の建物など、一定の防火対象物に設置が義務づけられています(設置対象は建物の階数・用途・面積などで決まります)。高層階での消火活動には欠かせない設備です。
今回の建物は、普段は配管の中に水が入っていない乾式の連結送水管で、送水口から屋上の放水口まで1系統の配管が通っています。
設置から10年を過ぎると、3年ごとに耐圧性能点検が必要
連結送水管の配管は普段は水が流れていないため、内部の腐食や継手の緩みに気づきにくい設備です。そのため、配管を設置した日から10年を経過した連結送水管は、配管の耐圧性能点検を行い、その後は3年ごとに繰り返すことが定められています。根拠は、消防法第17条の3の3に基づく消防用設備等の点検基準(消防庁告示)の別表第20「連結送水管」です。
この耐圧性能点検は、法令上は消防用設備等の機器点検の一項目として位置づけられていますが、半年ごとの通常の点検では行わない、実際に配管へ水を入れて圧力をかける作業です。検索では「連結送水管の耐圧試験」と呼ばれることが多いため、本記事でもこの呼び方を併用しています。今回の建物は築39年で、前回の耐圧性能点検から期間が経過していたため、今回の実施となりました。
なお、屋内消火栓設備と配管を共用している部分は、この耐圧性能点検の対象から除かれています。
試験の流れ
試験は、次の流れで行いました。
- 周囲の養生と安全確保:送水口は歩道に面しているため、カラーコーンや注意標識で通行される方の安全を確保します。
- 送水口に試験用配管を接続:送水口に圧力計・止水弁・手動テストポンプをつなぎます。
- 配管への注水:乾式配管のため、自社の耐圧放水試験車から送水して配管内を水で満たします。屋上の放水口側で空気を抜きながら水が上がるのを確認します。
- 加圧と保持:点検要領では、送水口から送水した後、締切静水圧(設計送水圧力)を3分間かけて、送水口本体・配管・接続部分・弁類に変形や漏水がないことを確認します。手動テストポンプで所定の圧力まで微調整し、送水口側と末端(屋上の放水口)側の両方に圧力計を取り付けて、圧力の低下がないことも確認します。
- 排水と復旧:試験後は配管内の水を抜き、乾式の状態に戻します。送水口・放水口のキャップや格納箱を元どおりに復旧します。
- 点検済証の貼付:今回は、合格したことを示す耐圧性能点検済証(試験圧力と実施日を記載)を送水口に貼付しました。次回の点検時期の目安にもなります。
耐圧性能点検で不合格になったら?
圧力が保持できない場合は、配管のどこかで漏れています。継手の増し締めや部分的な配管交換で直ることもあれば、配管全体の更新が必要になることもあります。当社は消防設備の施工を自社で対応しているため、不合格となった場合の是正工事までそのままお任せいただけます。
自動火災報知設備の不具合是正(感知器・地区音響装置)
差動式スポット型感知器 5箇所の交換
消防設備点検で不具合が確認された住戸内の熱感知器(差動式スポット型感知器2種)5箇所を交換しました。既設のベース(取付台)を活かして感知器本体のみを交換する方法もありますが、ベース側に不具合が隠れている可能性もあるため、当社ではベースから交換しています。交換後は受信機で該当の警戒区域が正しく表示されることを確認しています。
差動式スポット型感知器は、周囲の温度が急に上昇したときに作動する熱感知器で、居室や廊下に広く使われています。経年で内部の空気室やダイヤフラムが劣化すると、点検時の加熱試験で作動しなくなったり、逆に誤作動の原因になったりします。
地区音響装置(ベル)の交換
共用部の総合盤に組み込まれている地区音響装置(ベル)1箇所を交換しました。地区音響装置は、火災を検知したときに各階で警報音を鳴らし、居住者に火災を知らせる装置です。鳴動しない、音量が適正でないといった不具合がある場合は、点検結果に基づき是正が必要になります。
今回は総合盤の箱や表示灯・発信機はそのまま活かし、内部のベルのみを新品に交換しました。交換後は受信機からの火災試験でベルが鳴動すること、表示灯が点灯することを確認しています。
避難ハッチの交換
バルコニーに設置された避難ハッチ1台を、改修用のステンレス製避難ハッチと避難はしご(7段)に交換しました。交換前のハッチはスチール製で、上蓋の裏側から枠、はしごまで錆と塗膜の剥離が進んでいました。このままでは非常時にはしごが正常に展張できないおそれがあり、点検で是正を求められていました。
改修用避難ハッチは、既存の開口部を活かして上から新しい枠をかぶせる方式のため、床の斫り工事が不要で、1台あたり1〜2時間程度の現場作業で交換できます。枠まわりは雨水が下階へ回らないよう防水処理を丁寧に行い、交換後には実際にはしごを展張して降下試験を行います。
避難ハッチの費用の考え方は避難ハッチ交換工事の費用ガイド、工程の詳細は避難ハッチ交換工事の流れ(写真解説)もあわせてご覧ください。避難ハッチの交換事例としては、錆びた2住戸だけを半日で部分交換した事例(東京都豊島区)や、潮風で錆びた避難はしごを交換した事例(横須賀市)もご紹介しています。
消防署への届出と報告
今回の工事では、次の書類を当社が作成し、建物関係者様のご依頼を受けて所轄消防署への提出まで対応しました。
| 書類 | 対象・内容 |
|---|---|
| 着工届 | 今回は避難ハッチの交換工事について、必要な届出を確認したうえで提出しました。着工届は工事着手の10日前までに甲種消防設備士が届け出るもので、要否は工事内容や所轄消防署の取扱いによって異なります。 |
| 設置届 | 自動火災報知設備・避難ハッチ。工事完了後4日以内に、建物の関係者(所有者・管理者等)が届け出るものです。当社が書類を作成し、提出までサポートしました。 |
| 連結送水管の耐圧性能点検報告書 | 試験結果(圧力・保持時間・漏水の有無)をまとめ、消防用設備等の点検結果報告として提出します。 |
届出の要否や添付書類の内容は、工事内容や所轄消防署の運用によって異なります。当社は神奈川・東京・埼玉・千葉の各消防署と日常的にやり取りしているため、事前相談から届出の作成・提出サポートまで一括で対応できます。
まとめて是正するメリット
連結送水管・自動火災報知設備・避難器具は、それぞれ別の資格(消防設備士 甲種第1類・第4類・第5類)が必要な設備です。設備ごとに業者を分けると、日程調整や居住者への案内、届出がそれぞれ発生してしまいます。
- 入居者様への案内が1回で済む:住戸内に入る感知器交換と、バルコニー作業となる避難ハッチ交換を同じ日程にまとめられます。
- 届出をまとめて提出できる:今回は自動火災報知設備・避難ハッチの設置届を同時に提出しました。
- 費用の重複を抑えられる場合があります:出向回数や諸経費が設備ごとに重複しないため、別々に発注する場合に比べて総額を抑えられることがあります。
当社は消防設備士の全類と電気工事士の資格を持つ社員が在籍し、点検から工事、届出までを自社で行っています。川崎市で連結送水管の耐圧性能点検や点検指摘の是正をご検討の場合は、優先順位のご相談からお受けしています。同じように点検指摘をまとめて是正した事例として、相模原市の総合盤・避難ハッチ交換や横須賀市の火災受信機交換もご覧ください。
よくあるご質問
Q. 連結送水管の耐圧試験はどのくらいの頻度で必要ですか?
A. 配管を設置した日から10年を経過した連結送水管は配管の耐圧性能点検が必要で、その後は3年ごとに行います。点検要領では、送水口から送水した後に締切静水圧を3分間かけて、変形や漏水がないことを確認します。
Q. 耐圧試験の当日、入居者に影響はありますか?
A. 送水口や放水口は共用部にあるため、住戸内への立ち入りは原則不要です。送水口の前で作業を行う間、歩道や車路の一部を養生させていただきます。
Q. 点検で指摘された箇所だけを直せばよいのですか?
A. 今回のように不具合箇所のみの是正で復旧する場合が多いですが、機器が古い場合は同じ系統の別の機器が近いうちに不具合を起こすこともあります。現地調査の際に、まとめて交換した方がよいかどうかもあわせてご提案します。
Q. 避難ハッチ1台だけの交換でも届出は必要ですか?
A. 工事内容や建物の状況によって必要な届出は異なります。今回の工事では、事前に所轄消防署へ確認したうえで着工届と設置届を提出しました。
Q. 連結送水管の耐圧性能点検の費用はどのくらいかかりますか?
A. 配管の系統数、乾式か湿式か、送水口・放水口の位置、養生の範囲などで変わるため、現地調査のうえでお見積りします。今回のように感知器や避難ハッチの工事と同じ時期にまとめて行うと、出向費などの重複を抑えられる場合があります。点検報告書をお送りいただければ概算をご案内します。
Q. 工事の日程はどのように決めますか?
A. 住戸内の作業(感知器交換・避難ハッチ交換)は入居者様のご都合に合わせる必要があるため、管理会社様・オーナー様と相談のうえ、事前に案内文を配布して日程を調整します。当社は消防設備点検で入居者様との日程調整に慣れており、粘り強くご連絡します。
まとめ
神奈川県川崎市川崎区の築39年・地上9階建て共同住宅で、連結送水管の配管耐圧試験(耐圧性能点検)と、点検で指摘された感知器・地区音響装置・避難ハッチの是正を一度の工事で行いました。設備ごとに必要な資格と届出が異なる工事でも、自社施工の当社なら一括でお任せいただけます。
点検報告書に複数の不具合が記載されている、連結送水管の耐圧性能点検の時期が来ている、といった場合は、まずは報告書をお送りください。概算のご案内から対応します。
神奈川県内の消防設備工事はチヨダ防災 横浜本社へ
横浜本社(横浜市港北区)を拠点に、川崎市(川崎区・幸区・中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区)・横浜市をはじめ神奈川県全域の消防設備点検・工事に対応しています。現地調査・お見積りは無料です。
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