
公開日:2026年10月【公開日を記入】 最終確認日:2026年10月14日
この記事の要点
- 型式失効とは、総務大臣が消火器や感知器などの型式承認の効力を失わせることです。多くは技術上の規格(省令)の改正により、すでに承認を受けた型式が新しい規格に適合しなくなった場合に起こりますが(消防法第21条の5)、不正な手段による承認や、2年以上型式適合検定を申請しない場合にも失効します(第21条の6)。製品が壊れているかどうかとは関係ありません。
- 失効した製品は販売も、消防用設備の工事への使用もできなくなります(消防法第21条の2第4項。違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金=第41条第1項第6号)。
- 規格改正に伴う失効では、すでに建物に付いている機器に「設置上の特例期限」が設けられるのが通例です。期限後に交換義務がかかるかは、法令上の設置義務があるか/消火器・避難器具か/特定防火対象物か/施行令第34条の設備か/用途変更や大規模な増改築の有無で決まります(消防法第17条の2の5)。
- 本記事で確認した日本消防検定協会の公開資料(確認日 2026年10月14日)では、検定対象12区分のうち8区分に型式失効の事例があり、いずれも設置上の特例期限は到来済みです。最後の大きな期限は消火器の令和3年(2021年)12月31日でした。検定から自主表示に移った消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器の経過措置(令和9年3月31日)は、令和6年の消防庁通知(消防予第108号 問4)により、麻糸のホース以外のホース・すべての結合金具・昭和51年6月7日以後に承認を受けた漏電火災警報器が現行規格に適合するものとして扱われます。
- 確認は、銘板の型式番号を枝番号まで控え、日本消防検定協会の「失効状況検索」で照合するのが確実です。
最新状況の早見表(2026年10月14日時点)
| 対象・出来事 | いま知っておくべき状況 | 確認するもの |
|---|---|---|
| 平成22年改正に伴う旧規格消火器 | 型式失効日は平成24年(2012年)1月1日。既設品の設置上の特例期限は令和3年(2021年)12月31日で終了。消防庁の点検要領でも、特例期間を過ぎたものは不適合・廃棄の扱い(6-1) | 型式番号、設置義務の有無、適応火災の表示(文字か絵か) |
| 旧検定品の消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器 | 令和9年(2027年)3月31日の経過措置だけを根拠に一律交換とは判断できない。消防予第108号 問4の3条件に当てはまれば現行規格適合として扱われる(6-13) | 麻ホースか否か、漏電火災警報器の承認時期、設備の適用関係(問5) |
| 令和7年7月の閉鎖型スプリンクラーヘッド等の規格改正 | 施行の際に型式承認を受けているヘッドは改正後の規格による承認とみなす附則あり。自主表示品(ホース・結合金具・動力消防ポンプ)は施行前に届出済みのものを適合とみなす附則。失効は生じていない(第10章) | 改正省令の附則(令和7年総務省令第73〜76号) |
| その他の失効品(感知器・受信機・緩降機・はしごなど) | 特例期限はいずれも平成14年9月までに終了。見つかった場合は、設備・建物ごとの適用関係で是正要否を判定する(第5章) | 失効の根拠と特例期限(協会の検索)、建物の用途・工事履歴 |
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監修
チヨダ防災株式会社 代表取締役 下嶋 健弘
消防設備士 特類〜第7類/第一種電気工事士/防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/建築基準法12条点検資格者。消防設備の設計・施工・点検に15年従事し、約7,000棟を担当。本記事は、消防法・消防法施行令の条文(e-Gov法令検索)、消防庁の通知、日本消防検定協会の型式失効状況をもとに作成しています。
「古い消火器は型式失効している」「この受信機は失効品だから交換が必要」。消防設備の点検報告書や見積書で、こうした言葉を目にしたことはないでしょうか。型式失効は消防法に定められた制度ですが、仕組みを順序立てて説明した資料は意外と少なく、「失効=今すぐ違法」「失効していても放っておいてよい」のどちらか一方に偏った説明も見かけます。
この記事では、型式失効の仕組みを条文から順に追い、交換義務がかかる建物とかからない建物の分かれ目を図で整理したうえで、検定対象の品目ごとに「いつ・なぜ失効したのか」「設置上の特例期限はいつだったのか」「いま確認できる状況はどうか」を共通の書式でまとめました。建物のオーナー・管理者の方にも、同業の消防設備士の方にも、確認のたびに戻ってこられるページを目指しています。確認日と改訂履歴を記事末に残し、改正があれば更新します。
1.型式失効とは何か ― 消防法第21条の5・第21条の6の仕組み
消火器や火災感知器のような消防用の機械器具は、国が定めた「技術上の規格」に適合していることを事前に確認する検定を受けなければ、販売も工事への使用もできません。検定の第一段階が、製品の型式(設計)が規格に適合していると総務大臣が認める型式承認です。
この型式承認の効力を総務大臣が失わせることを型式失効(型式承認の失効)といいます。代表的なのは、火災事故や技術の進歩を受けて規格そのものが改正され、改正の内容によっては改正前の規格で承認された型式が新しい規格に適合しなくなる場合です(消防法第21条の5)。このほか、不正の手段で型式承認を受けた場合や、承認後2年以上型式適合検定を申請しない場合にも失効します(第21条の6)。
消防法 第21条の5(原文)
総務大臣は、第二十一条の二第二項に規定する技術上の規格が変更され、既に型式承認を受けた検定対象機械器具等の型式に係る形状等が当該変更後の同項に規定する技術上の規格に適合しないと認めるときは、当該型式承認の効力を失わせ、又は一定の期間が経過した後に当該型式承認の効力が失われることとするものとする。
2 総務大臣は、前項の規定により、型式承認の効力を失わせたとき、又は一定の期間が経過した後に型式承認の効力が失われることとしたときは、その旨を公示するとともに、当該型式承認を受けた者に通知しなければならない。
3 第一項の規定による処分は、前項の規定による公示によりその効力を生ずる。
条文のポイントは3つです。①失効の引き金は「技術上の規格の変更」であること、②失効は「すぐに」の場合と「一定の期間が経過した後に」の場合があること、③失効は官報での公示によって効力が生じ、メーカー(型式承認を受けた者)に通知されることです。
型式失効には3つのパターンがある
実務で「型式失効」と呼ばれるものの大半は規格改正によるものですが、消防法上は不正や未申請による失効もあります。
| パターン | 根拠条文 | 内容 | 実例 |
|---|---|---|---|
| ① 規格改正による失効 | 第21条の5 | 技術上の規格を定める省令が改正され、旧規格の型式が新規格に適合しなくなったとき。既設品について猶予期間(設置上の特例期限)が併せて定められるのが通例 | 平成22年の消火器規格改正、平成6年の緩降機規格改正、昭和50年代の感知器・受信機規格改正など |
| ② 不正の手段による承認の失効 | 第21条の6第1項第1号 | 不正の手段で型式承認を受けたとき、総務大臣が効力を失わせることができる | 令和2年9月30日、泡消火薬剤(泡第25〜1号)について、型式試験に申請値と組成の異なるサンプルを提出したことを理由に失効処分 |
| ③ 型式適合検定を申請しない場合の失効 | 第21条の6第1項第2号 | 正当な理由なく、承認の通知から2年以内に型式適合検定を申請しないとき、または引き続き2年以上申請しないとき | 製造を終えた型式などで、申請者の都合により失効するもの |
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①と②③は、根拠条文も背景も異なります。①は規格が変わった結果として旧規格の型式が外れるもので、既設品のための特例が併せて置かれるのが通例です。②は承認の前提となる試験に問題があったという個別の処分で、製品の安全性と無関係とはいえず、既設品の扱いも処分ごとに消防庁やメーカーの公表資料で確認する必要があります。③は申請者側の事情による失効です。②③には規格改正のような設置上の特例省令はありません。以下、この記事では①の規格改正による失効を中心に説明し、②③は該当する品目の項で触れます。
型式失効と混同されやすいもの
- 耐用年数・設計標準使用期限:メーカーが示す「製造から約10年」などの交換目安は、機器が劣化して性能を保てなくなる時期の話です。型式失効は規格改正などによる制度上の扱いで、新品同様の機器でも該当します。
- 生産終了(製造中止):メーカーが生産をやめただけで直ちに型式失効になるわけではありません。ただし、2年以上型式適合検定の申請がなければ、第21条の6により失効することがあります。
- 検定対象から自主表示対象への移行:消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器は平成26年4月1日に検定の対象から外れましたが、これは型式失効ではありません。旧検定品には別の経過措置が置かれています(6-13)。
- 認定品・評定品の期限切れ:救助袋などの検定対象外の製品にある「認定」「評定」は、日本消防設備安全センターなどの民間制度です。型式失効とは制度が異なります。
2.前提となる検定制度 ― 検定対象12品目と自主表示6品目
型式失効を理解するには、検定制度の全体像を押さえておく必要があります。消防法第21条の2は、「一定の形状、構造、材質、成分及び性能を有しないときは火災の予防や人命の救助に重大な支障を生ずるおそれがあり、あらかじめ検査を受ける必要があると認められるもの」を検定の対象と定め、具体的な品目を政令(消防法施行令第37条)に委ねています。検定制度は昭和38年の消防法改正で、それまでの任意検定から義務検定に改められました。
検定は「型式承認」と「型式適合検定」の2段階
| 段階 | 行う者 | 内容 | 合格の証 |
|---|---|---|---|
| 型式承認 | 総務大臣(試験は日本消防検定協会または総務大臣の登録を受けた登録検定機関) | 製品の型式(設計)の形状・構造・材質・成分・性能が、省令で定める技術上の規格に適合しているかを見本と書類で審査する | 型式番号(例:消第26〜2号、感第47〜31号) |
| 型式適合検定 | 日本消防検定協会または登録検定機関 | 製造された個々の製品が、型式承認を受けた型式と同一の形状等かどうかを検定する(旧称:個別検定) | 製品に貼られる「合格の表示」(検定合格証票) |
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第21条の2第4項により、合格の表示が付いていない検定対象機械器具等は販売も販売目的の陳列もできず、消防用設備の「設置、変更又は修理の請負に係る工事」に使うこともできません。型式失効とは、この合格の表示を支えている型式承認が土台から失われることです。
検定対象機械器具等は12品目(消防法施行令第37条)
| 号 | 品目 | 技術上の規格を定める省令 | 型式番号の頭文字 |
|---|---|---|---|
| 1 | 消火器 | 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号) | 消第(自動車用は消自第) |
| 2 | 消火器用消火薬剤(二酸化炭素を除く) | 消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第28号) | 薬第 |
| 3 | 泡消火薬剤(総務省令で定めるものを除く) | 泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第26号) | 泡第 |
| 4 | 火災報知設備の感知器(熱・煙・炎を利用するもの)または発信機 | 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号) | 感第/発第 |
| 5 | 火災報知設備またはガス漏れ火災警報設備に使用する中継器 | 中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第18号) | 中第 |
| 6 | 火災報知設備またはガス漏れ火災警報設備に使用する受信機 | 受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号) | 受第 |
| 7 | 住宅用防災警報器 | 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成17年総務省令第11号) | 住警第 |
| 8 | 閉鎖型スプリンクラーヘッド | 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号) | ス第 |
| 9 | スプリンクラー設備等に使用する流水検知装置 | 流水検知装置の技術上の規格を定める省令(昭和58年自治省令第2号) | 流第 |
| 10 | スプリンクラー設備等に使用する一斉開放弁(接続部内径300mm超を除く) | 一斉開放弁の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第19号) | 開第 |
| 11 | 金属製避難はしご | 金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第1号) | は第 |
| 12 | 緩降機 | 緩降機の技術上の規格を定める省令(平成6年自治省令第2号。昭和40年自治省令第4号を全部改正) | 降第 |
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型式番号の読み方と注意点
型式番号は「頭文字+第+番号〜通し番号〜枝番号」の形で、「第」の直後の数字は型式承認を受けた年を表します。ただし表記には昭和・平成の年数を2桁で用いたものと、近年の西暦を4桁で用いたものがあり、昭和と平成の区別は番号に現れません。たとえば「降第46〜1号」は昭和46年、「降第6〜6号」は平成6年の承認で、数字の大小だけでは承認時期も失効の有無も判定できません。
銘板を確認するときは、枝番号(例:感第47〜31〜1号)まで正確に控え、第8章の方法で日本消防検定協会の型式情報と照合してください。また、承認年・製造年・設置年は別の情報です。承認年が古くても製造が続いていた型式はあり、設置年は点検報告書や設置届の控えで確認します。
自主表示対象機械器具等は6品目(消防法施行令第41条)
検定とは別に、製造者や輸入者が自ら規格適合を確認し、総務大臣に届け出て表示する「自主表示」の制度があります(消防法第21条の16の2〜)。対象は次の6品目で、このうち消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器の3品目は、平成26年4月1日に検定対象から自主表示対象へ移りました(消防法施行令の一部を改正する政令〔平成25年政令第88号〕)。自主表示品には型式承認がなく、届出番号で管理されます。
| 号 | 品目 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 動力消防ポンプ | 昭和61年自治省令第24号。令和7年改正で電動機(モーター)式の規定を整備 |
| 2 | 消防用ホース | 平成25年総務省令第22号。平成26年3月31日までは検定対象(旧検定品には型式番号あり) |
| 3 | 消防用吸管 | 昭和61年自治省令第25号 |
| 4 | 消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具 | 平成25年総務省令第23号。平成26年3月31日までは検定対象 |
| 5 | エアゾール式簡易消火具 | 平成25年総務省令第26号 |
| 6 | 漏電火災警報器 | 平成25年総務省令第24号。平成26年3月31日までは検定対象(旧検定品は漏受第・漏変第などの型式番号) |
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3.法律→政令→省令→告示・通知:型式失効を定めている条文の階層
型式失効に関係する条文は、消防法(法律)・消防法施行令(政令)・各機器の規格省令と特例省令(総務省令)・告示の4層に分かれ、その下に法令ではない消防庁の「通知」が運用や解釈を示しています。どの層が何を決めているかを図にまとめました。

図1 型式失効に関わる法令の階層。上の層が「何を義務づけるか」、下にいくほど「どの機器・建物が対象か」「どう作るか・いつまで猶予するか」「具体的な日付」と細かくなる。通知は法令ではなく消防庁の助言(消防組織法第37条)
読み方の順序は上から下です。法律(第21条の5)が「規格が変わったら失効させる」と定め、政令(第37条・第41条)が対象品目を決め、省令が規格の中身と猶予期間を定め、告示が失効の対象型式と日付を具体的に公示します。設置側の義務を考えるときは、法律の第17条の2の5と政令の第30条・第34条が加わります。通知(消防予第○号)は法令ではありませんが、消防署の運用はこれに沿うため、実務では欠かせません。
消防法は火災の事故や教訓を受けて改正されてきた法律です。型式失効も同じで、たとえば消火器は老朽化した消火器の破裂事故が相次いだことを受けて平成22年に規格が改正され、緩降機は着用具の締め忘れによる事故のおそれから平成6年に構造が見直されました。「どんな事故や問題があって、どの規格が変わり、その結果どの型式が失効したか」という順に追うと、型式失効は暗記ではなく理解できるようになります。
4.型式失効が起きると何が変わるのか ― 失効から特例期限までの流れ
規格改正から設置上の特例期限までの流れを、もっとも身近な消火器の例で見てみます。日付はいずれも消防庁通知(平成23年12月7日 消防予第450号・消防危第276号)で確認できます。

図2 消火器の型式失効の流れ(平成22年の規格省令改正の例)。施行から失効まで1年、失効から特例期限まで10年の猶予が置かれた
ステップごとに見る法律上の効果
| ステップ | 消火器の例 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| ① 規格省令の改正・施行 | 平成22年総務省令第111号(公布 平成22年12月22日、施行 平成23年1月1日) | 新規格の製品が型式承認を受けられるようになる。旧規格品もこの時点ではまだ製造・販売・設置できる |
| ② 供用開始日の告示 | 平成22年総務省告示第440号で「平成24年1月1日」と指定 | 消防法施行令第30条第2項に基づき、新規格に適合する製品を供用できる日を総務大臣が定める |
| ③ 型式失効の公示 | 平成23年12月7日 総務省告示第503号(失効日 平成24年1月1日) | 官報で対象型式が公示され、メーカーに通知される。公示により効力が生じる(第21条の5第3項) |
| ④ 失効日以後 | 平成24年1月1日〜 | 型式適合検定の合格の効力も失われる(第21条の10)。旧規格品は販売も、工事への使用もできない(第21条の2第4項) |
| ⑤ 設置上の特例期限 | 令和3年12月31日(平成22年総務省令第112号=特例省令) | 消防法施行令第30条第2項に基づく特例省令で、既設の旧規格品を設置し続けてよい期限が定められる。特例の対象(建物・設備・工事の着手時期)と期間は改正ごとに異なる |
| ⑥ 特例期限の翌日以後 | 令和4年1月1日〜 | 交換義務がかかる建物では、旧規格品は規格に適合しない機器=消火器が設置されていない状態として扱われ、是正の対象になる |
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「設置してあっても未設置扱い」の正確な意味
メーカーや消防署の案内で「型式失効した機器は設置してあっても未設置の状態とみなされる」と書かれることがあります。これは正しい説明ですが、特例期限を過ぎた機器が、交換義務のかかる建物に残っている場合の話です。失効した瞬間からすべての建物で未設置扱いになるわけではなく、また次の第5章で説明するとおり、既存の建物の一部では期限後も「従前の規定」が適用されます。
ポイント:失効の効果は「売る側・工事する側」と「建物側」で分けて考える
メーカー・販売店・工事業者:失効日以後は、その型式の製品を販売・陳列・工事に使用できない。違反は消防法第41条第1項第6号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。
建物の関係者:特例が設けられている場合は、その期限までは設置し続けてよい。期限後に交換義務がかかるかどうかは、設置義務の有無・機器の種類・建物の用途・設備の種類・用途変更や増改築の有無で決まる(第5章)。特例の対象となる建物・設備・工事着手時期・期限は、個別の特例省令と告示で異なる。
5.交換義務がかかる建物・かからない建物の判定(最重要)
型式失効で最も誤解が多いのがこの点です。消防法には、基準が改正されても既存の建物には原則として新しい基準を適用しないという「既存不遡及」の考え方があり(第17条の2の5第1項)、その例外として消火器・避難器具・政令で定める設備・特定防火対象物などが定められています。型式失効に伴う交換義務も、この枠組みの中で決まります。
消防法 第17条の2の5(要旨)
第1項 消防用設備等の技術上の基準に関する政令・省令・条例が改正されたとき、現に存する建物(工事中を含む)の消防用設備等がその規定に適合しなくても、その規定は適用しない。この場合は従前の規定を適用する。ただし、消火器、避難器具その他政令で定めるものは除く(=既存の建物でも現行の基準が適用される)。
第2項 次のものには第1項を適用しない(=現行の基準が適用される)。①改正前の規定にも違反していた設備 ②改正後に着工した政令で定める増築・改築・大規模の修繕・模様替えに係る建物の設備 ③自主的に現行の基準に適合させた設備 ④百貨店・旅館・病院・地下街・複合用途防火対象物など、多数の者が出入りするものとして政令で定める特定防火対象物の設備
第1項の「政令で定めるもの」が消防法施行令第34条で、次の設備が挙げられています。
消防法施行令 第34条(適用が除外されない消防用設備等)
一 簡易消火用具 二 不活性ガス消火設備(全域放出方式で総務省令で定める不活性ガス消火剤を放射するもの。総務省令で定める基準の適用を受ける部分に限る) 三 自動火災報知設備(別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ及び(16の2)項から(17)項までに掲げる防火対象物に設けるものに限る) 四 ガス漏れ火災警報設備(同様に用途を限定) 五 漏電火災警報器 六 非常警報器具及び非常警報設備 七 誘導灯及び誘導標識 八 必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等であって、消火器、避難器具及び前各号に掲げる消防用設備等に類するものとして消防庁長官が定めるもの
消火器と避難器具が第34条に出てこないのは、法律本文(第17条の2の5第1項の括弧書き)で直接除外されているためです。つまり消火器と避難器具は、どの建物でも常に現行の基準が適用される設備です。
さらに、設置上の特例期限を定める根拠である消防法施行令第30条第2項は、特例の対象を「法第17条の2の5第1項の規定の適用を受ける消防用設備等に係るものを除く」と定めています。言い換えると、特例期限という猶予は現行の基準が適用される建物・設備のためのもので、既存不遡及で守られている設備にはそもそも期限がありません。この整理は、消防用ホースについて、令和6年の消防庁通知(消防予第108号 問5)でも「法第17条の2の5第1項の適用を受けている設備や任意で設置している設備のホースは対象ではなく、令和9年4月1日以後も引き続き使用できる」と確認されています。
判定の前提:3つの確認
判定フローに入る前に確認すること
① 法令上の設置義務がある設備か:住宅に任意で置いた消火器や、基準を超えて任意に設けた機器には、交換義務の話はそもそも当てはまりません(安全上の更新は別途推奨)。
② 設置当時の基準に適合していたか:改正前の基準にも違反していた設備は、既存不遡及の対象外で、はじめから現行基準の対象です(第17条の2の5第2項第1号)。
③ その後の用途変更・増改築の履歴:設置後にテナントが入れ替わって特定防火対象物になった、基準時以後に増改築を重ねた、といった履歴があれば適用関係が変わります。「既存」とは、単に今建っているという意味ではありません。
判定フロー

図3 型式失効した機器が見つかったときの判定フロー。Q1〜Q4のどれかに「はい」なら交換義務がかかる。設備ごとの細かな例外は所轄の消防署に確認する
Q4の増改築の基準は消防法施行令第34条の2〜第34条の4で、①基準時以後の増築・改築に係る部分の床面積の合計が1,000㎡以上、または基準時の延べ面積の2分の1以上、②主要構造部である壁の過半の修繕・模様替えが該当します。複数回に分けた工事は床面積を合計して判定します。
設備別に見た「型式失効時に交換義務がかかる建物」
| 検定対象機器 | その機器が属する消防用設備等 | 交換義務がかかる建物 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 消火器・消火器用消火薬剤 | 消火器 | 消火器の設置義務があるすべての建物(住宅などの任意設置は対象外)。危険物の製造所等も同様(6-1) | 法第17条の2の5第1項括弧書き |
| 緩降機・金属製避難はしご(避難ハッチを含む) | 避難器具 | 避難器具の設置義務があるすべての建物 | 法第17条の2の5第1項括弧書き |
| 感知器・発信機・中継器・受信機 | 自動火災報知設備 | 特定防火対象物に加え、(1)〜(4)項・(5)項イ・(6)項・(9)項イ・(16)項イ・(16の2)〜(17)項の建物。共同住宅(5)項ロ・事務所(15)項・工場(12)項・倉庫(14)項・学校(7)項などは、設置当時の基準に適合して設置され、その後に用途変更や大規模な増改築がなければ原則として対象外 | 令第34条第3号 |
| 受信機・中継器(ガス漏れ火災警報設備用) | ガス漏れ火災警報設備 | 特定防火対象物など令第34条第4号に掲げる建物 | 令第34条第4号 |
| 漏電火災警報器(旧検定品) | 漏電火災警報器 | 設置義務があるすべての建物 | 令第34条第5号 |
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド・流水検知装置・一斉開放弁 | スプリンクラー設備等 | 特定防火対象物(および大規模な増改築を行った建物)。既存の非特定防火対象物は従前の規定 | 法第17条の2の5第2項第4号 |
| 泡消火薬剤 | 泡消火設備 | 同上 | 同上 |
| 消防用ホース・結合金具(旧検定品) | 屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・連結送水管など | 同上(消防用ホースについては令和6年消防予第108号 問5で確認) | 同上 |
| 住宅用防災警報器 | 住宅用防災機器(消防用設備等ではない) | 確認した資料では失効の事例なし。設置・維持の基準は市町村条例による | 法第9条の2 |
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よくある誤解:「失効品は非特定防火対象物でも全部交換」「特定防火対象物でなければ放置でよい」
どちらも正確ではありません。消火器と避難器具は建物の用途を問わず交換が必要ですし、自動火災報知設備は用途によって扱いが分かれます。逆に、既存の共同住宅や事務所ビルのスプリンクラーヘッドや受信機が失効していても、設置当時の基準に適合して設置され、その後に用途変更や大規模な増改築がなければ、法律上は従前の規定が適用され、型式失効だけを理由とする交換義務はありません。
ただし「交換義務がない」と「問題がない」は別です。失効品は新たな交換品・増設品として使えず、古い機器では部品供給や現行機器との互換性が問題になります(第9章)。
危険物施設(製造所等)の場合
本章の判定は、消防法第17条に基づく一般の建物(防火対象物)の消防用設備等を対象にしています。危険物の製造所・貯蔵所・取扱所の消火設備は、消防法第10条第4項と危険物の規制に関する政令に基づく別の枠組みです。たとえば平成22年の消火器の特例省令(平成22年総務省令第112号)は製造所等も対象に、同じ令和3年12月31日の特例期限を定めていました(消防予第450号・消防危第276号)。製造所等では、この判定フローをそのまま当てはめず、危険物規制側の基準と通知で確認してください。
6.品目別:型式失効の経緯と現在の状況
ここからが本記事の中心です。日本消防検定協会が公開している「型式失効状況」(メーカー名の五十音順に、型式番号・承認年月日・設置上の特例期限を一覧にしたもの)と、消防庁の通知をもとに、品目ごとに共通の書式で整理しました。確認日は2026年10月14日です。特例期限のように「年月」までしか公表されていないものはその単位で記載し、型式ごとの失効日は協会の「失効状況検索」で個別に表示されるため、本文では失効の事案ごとにまとめています。
先に結論:2026年10月14日時点で確認できた状況
本記事で確認した日本消防検定協会の公開資料では、検定対象12区分のうち消火器・泡消火薬剤・感知器または発信機・中継器・受信機・閉鎖型スプリンクラーヘッド・金属製避難はしご・緩降機の8区分に型式失効の事例があり、消火器用消火薬剤・住宅用防災警報器・流水検知装置・一斉開放弁の4区分では失効の事例を確認していません。
失効の事例がある8区分のうち、規格改正による失効の設置上の特例期限はすべて到来しています(最後は消火器の令和3年12月31日)。したがって、見つかった失効品は、第5章の判定で交換義務の有無を確かめ、義務があれば速やかに是正する段階です。
検定から自主表示に移った消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器の旧検定品だけは、令和9年(2027年)3月31日までの経過措置が進行中ですが、令和6年の消防庁通知により、問4の3条件に当てはまるものは現行規格に適合するものとして扱われます。
6-1 消火器
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 消第(自動車用は消自第)。消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号) |
| 失効の理由 | 規格改正による失効が2回。昭和57年改正(安全栓の統一、一定のエアゾール式簡易消火具の検定対象からの除外など)と、平成22年改正(老朽化消火器の破裂事故を受け、設計標準使用期限・廃棄時の連絡先など安全上の注意事項の表示を義務化)。このほか規格制定前後の古い型式(四塩化炭素消火器など)の失効が昭和50年代までに終了 |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和57年改正=昭和57年自治省令第24号、失効の告示は昭和57年自治省告示第201号・昭和58年自治省告示第192号、特例省令は昭和57年自治省令第25号。平成22年改正=平成22年総務省令第111号(公布 平成22年12月22日、施行 平成23年1月1日)、供用開始日の告示は平成22年総務省告示第440号、失効の告示は平成23年12月7日 総務省告示第503号、特例省令は平成22年総務省令第112号 |
| 型式失効日 | 昭和57年改正分:昭和59年12月1日。平成22年改正分:平成24年1月1日 |
| 設置上の特例期限 | 昭和57年改正分:平成4年11月30日。平成22年改正分:令和3年(2021年)12月31日(特例期間11年) |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 消火器の設置義務があるすべての建物(法第17条の2の5第1項括弧書き)。危険物の製造所等も同じ特例省令の対象。住宅などの任意設置は対象外 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限はすべて終了。令和4年1月1日以後、旧規格消火器が設置義務のある建物に残っていれば消火器未設置と同じ扱い。消防庁の消火器具の点検要領(平成22年12月22日 消防予第557号)でも、「表示及び標識」の判定で型式失効に伴う特例期間を過ぎたものでないことが求められ、過ぎたものは廃棄するとされている。現行(平成23年以降の)規格に失効はない |
| 確認方法 | 適応火災の表示が「普通・油・電気」の文字のもの、「設計標準使用期限」の記載がないもの、製造年が2011年以前のものは旧規格の可能性が高い。絵表示(マーク)のものは新規格。最終的には銘板の型式番号を協会の検索で照合 |
| 出典 | 消防予第450号・消防危第276号(平成23年12月7日)/消防予第557号(平成22年12月22日)/日本消防検定協会 型式失効状況 |
平成22年の改正は、平成21年〜22年に、老朽化した加圧式消火器が使用時に破裂して人が負傷する事故が相次いだことがきっかけです。このため規格改正と同時に点検基準も改正され(平成23年4月1日施行)、製造から10年を経過した消火器には耐圧性能点検(水圧試験)が義務づけられました。「旧規格の消火器を交換する」ことと「10年を過ぎた消火器を耐圧点検するか交換するか」は、根拠が異なる2つの話だと整理しておくと混乱しません。当社の消火器の扱いは、消防設備点検のサービスページでも紹介しています。
6-2 消火器用消火薬剤
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 薬第。消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第28号)。消火器本体とは別の検定対象機械器具等で、独立した型式承認を受ける |
| 失効の理由 | 本記事で確認した協会の型式失効状況に該当する事例の掲載なし |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 平成18年の改正(平成18年総務省令第124号)で、回収した使用済み薬剤を処理した「再利用消火薬剤」の規定が追加されたが、失効は伴っていない |
| 型式失効日 | 確認した資料では該当なし |
| 設置上の特例期限 | 確認した資料では該当なし |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 消火器の部分として消火器と同じ |
| 2026年10月14日時点の対応 | 型式失効の問題は確認していない。消火器の整備(薬剤の詰め替え)では、本体の承認内容やメーカーの指定に適合する薬剤であることの確認が必要 |
| 確認方法 | 協会の失効状況検索(品目「薬」) |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況 |
6-3 泡消火薬剤
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 泡第。泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第26号) |
| 失効の理由 | 規格改正による失効は確認した資料では該当なし。不正の手段による承認(消防法第21条の6第1項第1号)を理由とする失効処分が1件:水成膜泡消火薬剤5%・高発泡対応式(泡第25〜1号、承認 平成25年4月11日)。処分理由は型式試験への「申請値と組成が異なるサンプルの提出」 |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 総務省消防庁報道資料「DIC株式会社が受けた型式承認の失効」(令和2年9月30日) |
| 型式失効日 | 令和2年9月30日(泡第25〜1号) |
| 設置上の特例期限 | 個別の処分のため、規格改正のような特例省令はない。既設品の扱いは消防庁の公表資料とメーカーの案内で確認 |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 泡消火設備の部分として、特定防火対象物など現行基準が適用される建物 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 規格改正による失効の問題は確認していない。一方で、PFOS・PFOA等の有機フッ素化合物を含む泡消火薬剤は、化学物質審査規制法(化審法)による製造・輸入の規制と、環境省・消防庁からの適正な交換・処理の要請の対象。これは型式失効とは別の枠組み |
| 確認方法 | 協会の失効状況検索(品目「泡」)、消防庁の報道資料 |
| 出典 | 総務省消防庁報道資料(令和2年9月30日)/日本消防検定協会 型式失効状況 |
6-4 感知器・発信機
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 感第/発第(規格制定前の古い型式は火感第・火発第・火手第)。火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号) |
| 失効の理由 | 昭和50年代の複数回の規格改正(昭和52年、昭和56〜57年など)により、昭和30年代から昭和50年代に承認された型式が段階的に失効。どの改正を理由とするかは型式ごとに異なる(協会の検索で根拠が表示される)。平成7年(自動試験機能など)、平成9年(SI単位化)の改正では、既存の型式承認は改正後の規格による承認とみなされ、失効は生じていない |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和56年自治省令第17号ほか。失効の告示と特例省令は型式ごとに異なるため、協会の検索結果の「根拠」欄を参照 |
| 型式失効日 | 型式ごとに異なる(協会の失効状況検索で個別に表示) |
| 設置上の特例期限 | 感知器:平成2年2月・平成4年2月・平成4年10月・平成6年9月・平成9年2月・平成9年10月・平成14年9月(最終)の各末日。発信機:平成2年2月・平成8年2月の各末日 |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 自動火災報知設備の部分として、特定防火対象物と令第34条第3号に掲げる用途の建物。設置当時の基準に適合して設置された既存の共同住宅・事務所・工場・倉庫・学校などは、用途変更や大規模な増改築がなければ原則として従前の規定 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限はすべて終了(最終は平成14年9月末日)。交換義務のある建物で昭和50年代以前の感知器・発信機が残っていれば是正対象。メーカー各社も自社製品の型式失効機器一覧(品番・型式承認番号・交換期限・代替品番)を公開している |
| 確認方法 | 感知器本体の側面や裏面の銘板、発信機の内側の銘板で型式番号を確認し、協会の検索で照合。天井に付いたまま読めない場合は点検時に確認 |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況(感知器・発信機)/消防予第207号(平成7年9月13日) |
感知器は型式失効がなくても、メーカーや業界団体が示す更新の目安(煙感知器で約10年、熱感知器で約15年など。法定の期限ではありません)があり、昭和50年代の製品が現役で残っていること自体がまれです。失効品が見つかるのは、受信機ごと長年更新されていない建物に多い傾向があります。受信機の更新事例は点検・施工事例をご覧ください。
6-5 中継器
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 中第。中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第18号) |
| 失効の理由 | 昭和40年代〜50年代に承認された型式が、昭和50年代の規格改正に伴い失効 |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和56年自治省令第18号ほか(個別の根拠は協会の検索で表示) |
| 型式失効日 | 型式ごとに異なる(協会の失効状況検索で個別に表示) |
| 設置上の特例期限 | 平成8年10月末日(確認した一覧の範囲) |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 感知器と同じ(自動火災報知設備またはガス漏れ火災警報設備の部分として判定) |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限は終了。現在流通する中継器に失効の問題は確認していない |
| 確認方法 | 協会の失効状況検索(品目「中」) |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況(中継器) |
6-6 受信機
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 受第(規格制定前の古い型式は火受第)。受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号) |
| 失効の理由 | 昭和50年代の複数回の規格改正により、昭和25年〜昭和52年ごろに承認されたA級・B級受信盤、P型1級・2級受信機、R型受信機が段階的に失効。どの改正を理由とするかは型式ごとに異なる |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和56年自治省令第19号ほか(個別の根拠は協会の検索で表示) |
| 型式失効日 | 型式ごとに異なる(協会の失効状況検索で個別に表示) |
| 設置上の特例期限 | 昭和25〜30年代の「火受第」(A級・B級受信盤):昭和57年2月末日。昭和39〜40年代前半の「受第」:昭和63年2月末日。昭和44〜52年ごろの「受第」(銘板に「外部配線抵抗50Ω」などの表示があるもの):平成8年10月末日 |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 自動火災報知設備の部分として、特定防火対象物と令第34条第3号に掲げる用途の建物。設置当時の基準に適合して設置された既存の共同住宅・事務所ビルなどは、用途変更や大規模な増改築がなければ従前の規定 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限はすべて終了。失効品の受信機が残る建物では、感知器の増設や一部交換のたびに互換性の問題が生じるため、交換義務の有無にかかわらず受信機ごとの更新を検討する段階 |
| 確認方法 | 受信機の扉の内側または前面の銘板で型式番号を確認し、協会の検索で照合 |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況(受信機) |
よくあるケース:築40年前後の共同住宅・事務所ビルの受信機
受信機の銘板が「受第4×〜×号」「受第5×〜×号」のまま残っている例です。共同住宅(5)項ロや事務所(15)項は令第34条の対象外なので、設置当時の基準に適合して設置され、その後に用途変更や大規模な増改築がなければ、法律上の交換義務はありません。ただしこの世代の受信機は予備電源や部品の供給が終わっていることが多く、1階にテナントとして飲食店が入って(16)項イになった時点で特定防火対象物として現行基準の対象になります。当社では、用途変更や大規模修繕の予定を伺ったうえで、更新の時期をご提案しています。
6-7 住宅用防災警報器
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 住警第。住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成17年総務省令第11号)。検定対象になったのは平成26年4月1日(それまでは日本消防検定協会の鑑定・NSマーク品) |
| 失効の理由 | 本記事で確認した協会の型式失効状況に該当する事例の掲載なし |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 平成25年改正(平成25年総務省令第25号)で定温式住宅用防災警報器と連動型の規定を追加、令和元年改正(令和元年総務省令第35号)は法律名変更に伴う字句の整理。いずれも失効を伴っていない |
| 型式失効日 | 確認した資料では該当なし |
| 設置上の特例期限 | 確認した資料では該当なし |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 消防用設備等ではなく、消防法第9条の2に基づく市町村条例で設置・維持の基準が定められている |
| 2026年10月14日時点の対応 | 型式失効の問題は確認していない。「設置から10年を目安に交換」はメーカーと消防庁が推奨する耐用年数の話で、型式失効とは別 |
| 確認方法 | 協会の失効状況検索(品目「住警」) |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況/消防予第117号(令和元年8月30日) |
6-8 閉鎖型スプリンクラーヘッド
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | ス第。閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号) |
| 失効の理由 | 規格省令制定前の昭和38年12月に承認された2つの型式(第1号・第2号)のみが失効。昭和51年、昭和62年、平成7年(感度試験方法の変更、種別の追加)、平成9年(SI単位化)、平成20年(特定施設水道連結型の追加)、令和7年7月30日(有効散水半径2.8mヘッドとカバー付きヘッドの一般化、標示温度の数字表示など)の改正では、既存の型式承認は改正後の規格による承認とみなされ、失効は生じていない |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和40年自治省令第2号、平成7年自治省令第26号(運用は消防予第207号)、平成20年総務省令第157号、令和7年総務省令第73号ほか |
| 型式失効日 | 第1号・第2号:協会の失効状況検索で個別に表示 |
| 設置上の特例期限 | 平成29年2月28日(第1号・第2号) |
| 交換義務の範囲(適用条件) | スプリンクラー設備の部分として、特定防火対象物など現行基準が適用される建物 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 現在設置されているヘッドで型式失効が問題になるケースはほぼない。令和7年改正の附則により、施行の際に型式承認を受けているヘッドは改正後の規格による型式承認とみなされる。ヘッドの交換は型式失効ではなく、経年による劣化や点検での漏れ・腐食の指摘が理由になる |
| 確認方法 | ヘッド本体の刻印(型式番号・製造年)を確認し、協会の検索で照合 |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況(閉鎖型スプリンクラーヘッド)/消防予第207号(平成7年9月13日)/総務省報道資料(令和7年7月30日) |
6-9 流水検知装置・一斉開放弁
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 流第/開第。流水検知装置の技術上の規格を定める省令(昭和58年自治省令第2号)/一斉開放弁の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第19号) |
| 失効の理由 | 本記事で確認した協会の型式失効状況に該当する事例の掲載なし |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 平成7年の流水検知装置規格省令改正(少水量ヘッド対応)では、既存の型式承認は改正後の規格による承認とみなされた |
| 型式失効日 | 確認した資料では該当なし |
| 設置上の特例期限 | 確認した資料では該当なし |
| 交換義務の範囲(適用条件) | スプリンクラー設備等の部分として、特定防火対象物など現行基準が適用される建物 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 型式失効の問題は確認していない。交換は経年による劣化・作動不良が理由になる |
| 確認方法 | 協会の失効状況検索(品目「流」「開」) |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況/消防予第207号(平成7年9月13日) |
6-10 金属製避難はしご・避難ハッチ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | は第。金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第1号)。避難ハッチに収納されている「ハッチ用つり下げはしご」もこの省令の対象 |
| 失効の理由 | 昭和40年〜50年ごろに承認されたつり下げはしご(折りたたみ式・伸縮式・ワイヤーロープ式・チェーン式)と固定はしごの一部が、規格改正に伴い失効 |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 昭和40年自治省令第1号ほか(個別の根拠は協会の検索で表示) |
| 型式失効日 | 型式ごとに異なる(協会の失効状況検索で個別に表示) |
| 設置上の特例期限 | 平成8年2月28日(確認した一覧の範囲ではすべて同日) |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 避難器具なのですべての建物(法第17条の2の5第1項括弧書き) |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限は終了。失効品が残っていれば用途を問わず是正対象 |
| 確認方法 | 避難ハッチは本体が床に埋め込まれているため、ふたを開けて中のはしごの銘板を確認しないと世代が分からない。交換の進め方は避難ハッチ交換工事の費用と流れで解説 |
| 出典 | 日本消防検定協会 型式失効状況(金属製避難はしご) |
6-11 緩降機
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 降第。緩降機の技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第4号、施行 昭和40年6月1日)→ 昭和48年自治省令第31号で改正(昭和48年11月1日)→ 平成6年自治省令第2号で全部改正(公布 平成6年1月17日、施行 平成6年2月1日) |
| 失効の理由 | 規格改正による失効が2回と、規格制定前の未検定品に対する実質的な更新措置が1回。平成6年の全部改正の最大の変更点は着用具の構造で、従来は使用者が着用後に調整環を手で引き寄せる必要があり、忘れると降下中に抜け落ちるおそれがあった。改正後はバネなどで自動的に締まる構造になった |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | ①未検定品(昭和40年6月1日前の製造):特例省令=昭和52年自治省令第3号。②第1回:昭和40年6月1日〜昭和48年11月1日前の規格による型式。同じ特例省令で猶予(当初20年、最終的に25年)。③第2回:昭和48年11月1日〜平成6年2月1日前の規格による型式。特例省令=平成6年自治省令第3号(当初5年、最終的に8年1か月) |
| 型式失効日 | ①:失効ではなく更新措置。②:昭和52年2月28日。③:平成6年1月31日 |
| 設置上の特例期限 | ①:昭和63年2月28日(昭和52年3月1日から11年)。②:平成14年2月28日。③:平成14年2月28日 |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 避難器具なのですべての建物 |
| 2026年10月14日時点の対応 | 特例期限は終了。失効品が残っていれば用途を問わず是正対象。昭和〜平成5年の承認はすべて旧規格 |
| 確認方法 | 本体前面の銘板の「降第」の番号を枝番号まで控え、協会の検索で照合(下の目安表も参照) |
| 出典 | オリロー株式会社「失効及び罰則(緩降機の型式認証の失効について)」/日本消防検定協会 型式失効状況(緩降機) |
緩降機の型式番号の目安
| 「降第」の直後の数字 | 承認時期 | 規格 |
|---|---|---|
| 40〜63 | 昭和40年〜昭和63年 | 旧規格(失効) |
| 1〜5 | 平成元年〜平成5年 | 旧規格(失効) |
| 6〜31 | 平成6年〜平成31年 | 現行規格 |
| 4桁(例:2020) | 西暦で表記された年 | 現行規格 |
※表が切れている場合は横にスクロールできます →
この表は目安です。番号の表記が昭和・平成の2桁か西暦かは銘板だけでは分からない場合があり、「降第6〜」以降でも枝番号によって扱いが異なることがあります。番号だけで確定せず、必ず協会の検索で照合してください。緩降機は型式失効の歴史が3段階と複雑ですが、昭和〜平成5年承認の型式がすべて旧規格だという点は共通です。なお、特定一階段等防火対象物の避難器具をめぐる「一動作式でなければならない」という誤解については、特定一階段等防火対象物の解説記事で取り上げています。
6-12 救助袋・避難ロープ・避難橋など、検定対象外の避難器具
救助袋・避難ロープ・避難橋・滑り台・避難用タラップは検定の対象ではないため、型式失効はありません。ただし避難器具である以上、既存の建物でも現行の基準(消防法施行規則と告示)が適用されます。救助袋については、昭和56年消防庁告示第8号で構造や材質の基準が定められる前の「告示前救助袋」の本体布に十分な強度を有していないものが数多くあることが消防庁から通知されており、学校などで古い救助袋が残っている場合は交換が求められます。詳しくは救助袋の交換・増設工事の事例ページをご覧ください。
6-13 消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器(検定から自主表示へ移った3品目)
この3品目は、検定時代の型式失効と、検定対象から外れたことによる経過措置の2つを分けて整理する必要があります。「2027年3月31日までにすべて交換が必要」と書かれた記事が今も多く見られますが、令和6年の消防庁通知で扱いが明確になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(型式番号の頭文字) | 旧検定品の消防用ホース(ホ第など)、結合金具(差第・ね第など)、漏電火災警報器(漏受第・漏変第。古い型式は電第) |
| 失効の理由 | 検定時代の型式失効:漏電火災警報器では、昭和37年規格・昭和44年規格の「電第」型式と、昭和51年自治省令第15号(昭和51年6月7日施行)前の型式が失効。消防用ホースでは麻糸で織られたホースが昭和50年4月1日以後製造されていない。 自主表示への移行:消防法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第88号)により、平成26年4月1日から検定対象外に。これは型式失効ではない |
| 根拠(規格省令・改正省令・告示) | 新規格省令=消防用ホース(平成25年総務省令第22号)・結合金具(第23号)・漏電火災警報器(第24号)。経過措置=特例省令(平成25年総務省令第27号)。運用=消防予第120号・第121号(平成25年3月27日)、消防予第108号(令和6年3月1日)問4・問5 |
| 型式失効日 | 漏電火災警報器の昭和51年6月7日前の型式:平成2年2月28日までに失効(消防予第108号 問4の答)。消防用ホース・結合金具の旧検定品:型式承認が失効しない限り販売は可能 |
| 設置上の特例期限 | 検定時代の失効分:昭和57年2月末日・平成2年2月末日(漏電火災警報器)。 自主表示移行の経過措置:既設の旧検定品は令和9年(2027年)3月31日まで従前の規格によることができる(平成26年4月1日から13年)。平成29年4月1日以後に工事を開始した建物は新規格品が必要 |
| 交換義務の範囲(適用条件) | 漏電火災警報器は令第34条第5号の設備なので、すべての建物が対象。消防用ホース・結合金具は屋内消火栓設備などの部分として、特定防火対象物など現行基準が適用される建物(消防予第108号 問5:法第17条の2の5第1項の適用を受けている設備や任意設置の設備のホースは、令和9年4月1日以後も引き続き使用できる) |
| 2026年10月14日時点の対応 | 消防予第108号 問4により、①麻糸で織られたホース以外の消防用ホース、②すべての結合金具、③昭和51年6月7日以後に型式承認を受けた漏電火災警報器は、現行の規格省令に適合しているものとして取り扱って差し支えないとされた。したがって、令和9年3月31日の期限だけを根拠に一律に交換とは判断できない。ただし「規格に適合するものとして扱える」ことと、劣化・故障した製品を使い続けてよいこととは別で、10年を経過したホースの耐圧性能点検や、部品供給の終わった漏電火災警報器の更新は、経過措置とは切り離して計画する |
| 確認方法 | ホースの外面表示(型式番号・製造年)、漏電火災警報器の受信部・変流器の銘板で型式番号と承認時期を確認。昭和51年6月7日前の漏電火災警報器か、麻ホースかを見分ける |
| 出典 | 消防予第108号(令和6年3月1日)問4・問5/消防予第120号・第121号(平成25年3月27日)/日本消防検定協会 型式失効状況(漏電火災警報器) |
注意:古い情報が残りやすい分野
平成25年の運用通知(消防予第121号 4(5))には「平成39年4月1日までには、消防用設備等に用いられているすべての消防用ホース等は、改正後の規格省令に適合しているもの(自主表示の印が付されているもの)に改修等することが必要であること」と書かれており、この一文をもとにした交換案内が今も各所に残っています。令和6年の消防予第108号は、この部分の運用を質疑応答の形で明確化したものです。見積や点検報告で「2027年までに全数交換」と案内されたときは、根拠が最新の通知を踏まえているかを確認してください。
6-14 動力消防ポンプ・消防用吸管・エアゾール式簡易消火具(自主表示対象)
動力消防ポンプは昭和61年自治省令第24号の規格省令のもとで自主表示の対象になっており、日本消防検定協会の型式失効状況にも検定時代の失効一覧が掲載されています。ただし主な使用者は消防本部や消防団で、建物側で問題になることはほとんどありません。令和7年総務省令第74号の改正(電動機式の規定の整備)では、施行前に届出を行ったものを改正後の規格に適合するものとみなす附則が置かれています。消防用吸管・エアゾール式簡易消火具について、本記事で確認した資料の範囲では建物側で問題になる失効は確認していません。
7.年表:検定制度と型式失効のあゆみ
| 年月日 | 出来事 | 型式失効との関係 |
|---|---|---|
| 昭和38年(1963年) | 消防法改正で検定制度が任意検定から義務検定に | 型式承認・個別検定(現在の型式適合検定)の2段階が法定化 |
| 昭和39〜40年 | 消火器(昭和39年自治省令第27号)、金属製避難はしご(昭和40年第1号)、閉鎖型スプリンクラーヘッド(同第2号)、緩降機(同第4号)などの規格省令が制定 | 規格制定前の製品は順次失効・更新の対象に |
| 昭和52年2月28日 | 緩降機の第1回目の型式失効(昭和48年改正前の規格) | 特例期限は最終的に平成14年2月28日 |
| 昭和52〜57年 | 感知器・発信機(昭和56年自治省令第17号)、中継器(第18号)、受信機(第19号)の規格省令が制定されるなど、自動火災報知設備の規格が複数回改正。消火器の規格改正(昭和57年自治省令第24号) | 自動火災報知設備の旧型式が段階的に失効(特例期限 昭和57年2月〜平成14年9月)。消火器は昭和59年12月1日失効・特例期限 平成4年11月30日 |
| 平成6年1月31日 | 緩降機の第2回目の型式失効(平成6年自治省令第2号による全部改正) | 特例期限 平成14年2月28日 |
| 平成7年10月1日 | 閉鎖型スプリンクラーヘッド・流水検知装置・感知器・中継器・受信機の規格改正(自動試験機能など) | 既存の型式承認は改正後の規格による承認とみなされ、失効なし(消防予第207号) |
| 平成18年6月1日 | 住宅用火災警報器の設置義務化(新築住宅) | 規格省令は平成17年総務省令第11号 |
| 平成23年1月1日 | 消火器の規格改正施行(平成22年総務省令第111号) | 平成24年1月1日失効、特例期限 令和3年12月31日 |
| 平成24年6月27日 | 消防法改正の公布(規格不適合品・表示のない製品を流通させた場合の総務大臣による回収命令の創設、罰則の強化、登録検定機関の民間参入) | 検定を受けていない製品や失効品を流通させた場合の回収命令・罰則の根拠が整備された |
| 平成26年4月1日 | 消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器が自主表示へ移行、住宅用防災警報器が検定対象に | 旧検定品の経過措置は令和9年3月31日まで |
| 令和2年9月30日 | 泡消火薬剤(泡第25〜1号)が不正の手段による承認として失効処分 | 消防法第21条の6第1項第1号による失効の実例 |
| 令和3年12月31日 | 旧規格消火器の設置上の特例期限 | 検定対象品目で最後の大きな期限 |
| 令和6年3月1日 | 消防予第108号(消防用ホース等の旧規格品の扱いを明確化) | 問4の3条件に当てはまる旧検定品を現行規格適合として扱う |
| 令和7年6月1日 | 刑法改正に伴い消防法の「懲役」が「拘禁刑」に | 第41条の罰則の表記が変更 |
| 令和7年7月30日 | 閉鎖型スプリンクラーヘッド・動力消防ポンプ・消防用ホース・結合金具の規格省令改正(令和7年総務省令第73〜76号) | ヘッドは既存の型式承認を改正後の承認とみなし、自主表示3品目は施行前に届出済みのものを適合とみなす附則。失効なし |
※表が切れている場合は横にスクロールできます →
8.自社の機器が型式失効しているかを確認する方法
方法1 銘板の型式番号を枝番号まで控える
検定に合格した機器には、合格の表示とともに型式番号が表示されています。第2章で説明したとおり、番号には昭和・平成の2桁の年と西暦の4桁が混在し、数字の大小だけでは判定できません。「消第26〜2〜1号」のように頭文字・年・通し番号・枝番号をそのまま控え、あわせて銘板の製造年も記録してください。承認年・製造年・設置年は別の情報です。
方法2 日本消防検定協会の「失効状況検索」で照合する
日本消防検定協会の型式情報検索では、品目(消・感・受・降・は など)を選んで型式番号を入力すると、失効の有無、型式承認年月日、型式失効年月日、設置上の特例期限(設けられている場合)、失効の根拠となった告示・省令、失効理由の備考まで表示されます。メーカー名の五十音順にまとめたPDF(型式失効状況)も公開されています。型式番号さえ分かれば、専門知識がなくても確認できる最も確実な方法です。
方法3 メーカーの型式失効機器一覧を見る
自動火災報知設備のメーカー各社は、自社製品の型式失効機器一覧(品番・型式承認番号・交換期限・代替品番)を公開しています。受信機や感知器の品番が分かる場合は、メーカーの一覧で代替品まで確認できます。メーカーが合併・廃業している場合は、事業を引き継いだ会社の一覧や協会の検索で確認します。
方法4 消防設備点検の報告書と点検業者に確認する
消防設備点検(消防法第17条の3の3)では、点検員が機器の銘板を確認します。消防庁の点検要領では、たとえば消火器具について「表示及び標識」の判定項目に型式失効に伴う特例期間を過ぎていないことが含まれており(消防予第557号)、作動の確認だけで法令上の不備がないとは判断できません。当社では、型式失効が疑われる機器を点検結果報告書で指摘し、第5章の判定に沿って交換義務の有無と優先順位をご説明しています。銘板が読み取れない、図面と現物が一致しないといった場合は、現地での確認が確実です。
9.失効品が残っている建物で起こる実務上の問題と具体例
① 新たな交換品・増設品として使えない
失効した型式の製品は、新たな交換品や増設品として使用することはできません。これとは別に、古い機器では補修部品の供給終了や現行機器との互換性が問題になる場合があります。型式失効(法令上の扱い)・部品供給の終了(メーカーの事情)・互換性(技術的な事情)・修理の可否は別々の話なので、修理や部分更新ができるかどうかは、型式とメーカーの対応状況を確認して判断します。交換義務がない建物でも、増設や一部交換ができないという理由で更新を選ばれるオーナー様は多くいらっしゃいます。
② 用途変更・増改築で一気に現行基準の対象になる
既存不遡及で守られていた共同住宅や事務所ビルも、1階に飲食店や物販店舗が入って(16)項イの複合用途防火対象物になれば特定防火対象物となり、第17条の2の5第2項第4号により現行基準が適用されます。基準時以後の増築・改築の合計が1,000㎡以上または基準時の延べ面積の2分の1以上になったとき、主要構造部である壁の過半の修繕・模様替えを行ったときも同様です。テナント誘致や大規模修繕の計画段階で、失効品の有無を確認しておくことをおすすめします。
③ 立入検査・措置命令・罰則
交換義務のある建物で特例期限を過ぎた失効品が残っていると、消防署の立入検査(消防法第4条)で是正を指導され、改善されなければ消防用設備等の設置維持命令(第17条の4)の対象になります。命令に違反して設置しなかった場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第41条第1項第5号)。いきなり罰則が適用されることはまれですが、命令や違反対象物の公表制度の対象になると、建物の評価や売買にも影響します。
④ 点検報告書への記載と取引への影響
失効品は点検結果報告書で不備事項として記載されます。建物の売買やテナント契約のデューデリジェンスで報告書を求められた際に、未是正の指摘が残っていると説明を求められます。
⑤ 一部交換のときの届出
失効した感知器や避難器具を現行品に交換する工事は、同等品への取り替えであっても、設備や工事の内容によって着工届・設置届の要否が変わります(避難器具の交換では原則として届出が必要という扱いが一般的です)。工事を行う消防設備士が、所轄の消防署と事前に確認します。
⑥ 具体例で確認する
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 築40年の共同住宅(5)項ロ。受信機は「受第4×〜」、バルコニーの緩降機は「降第5×〜」 | 受信機:自動火災報知設備は令第34条の対象外の用途なので、設置当時の基準に適合し、その後に用途変更・大規模な増改築がなければ従前の規定。型式失効だけを理由とする交換義務はない(ただし部品・互換性の問題は残る)。 緩降機:避難器具は全建物が対象で、特例期限(平成14年2月28日)はとうに過ぎているため交換が必要。同じ建物でも機器ごとに結論が変わる |
| 上記の共同住宅の1階を飲食店に貸す | (16)項イの複合用途防火対象物(特定用途を含む)になり、特定防火対象物として現行基準の対象に。受信機も含めて失効品の是正が必要になる。テナント契約の前に、消防設備の更新費用まで含めて計画する |
| 旧規格の受信機の感知器を1個だけ交換したい | 失効した型式の感知器は新たに取り付けられない。現行の感知器が旧受信機と接続できるかはメーカーの互換性情報で確認する。接続できない場合は受信機ごとの更新になる |
| ネットオークションや在庫品で安く手に入る消火器・感知器 | 検定合格の表示があっても、型式失効した製品は販売も工事使用もできない(第21条の2第4項)。購入前に型式番号を協会の検索で照合する。未使用の在庫品でも失効品は使えない |
| 銘板が読めない、メーカーが合併・廃業している | 点検時に機器の形状・製造年・メーカー名から型式を推定し、事業を引き継いだ会社や協会の検索で確認する。確認できない機器は、交換義務の有無にかかわらず更新を検討する |
| 屋内消火栓のホースが平成26年以前の検定品 | 麻糸のホースでなければ、消防予第108号 問4により現行規格に適合するものとして扱われ、令和9年3月31日の経過措置だけを理由に交換する必要はない。ただし製造から10年を経過したホースの耐圧性能点検(点検基準)は別途必要で、漏水や劣化があれば交換する |
10.最近の改正と今後の見通し
- 令和6年3月1日 消防予第108号:消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器の旧検定品について、問4の3条件に当てはまるものを現行規格適合として扱う運用が示されました(6-13参照)。令和9年3月31日の期限を前に、最も影響の大きい通知です。
- 令和7年7月30日 令和7年総務省令第73〜76号:閉鎖型スプリンクラーヘッド(有効散水半径2.8mのヘッド、カバー付きヘッドの一般化、標示温度の数字表示、ISO規格との整合)、動力消防ポンプ(電動機式の規定)、消防用ホース・結合金具(大量送水用の一般化)の規格省令が改正されました。附則の扱いは制度によって異なり、検定対象のヘッドは「施行の際に型式承認を受けているものは改正後の規格による型式承認とみなす」、自主表示対象のホース・結合金具・動力消防ポンプは「施行日前に届出を行ったものは改正後の規格に適合するものとみなす」です。いずれも型式失効は生じていません。
- 住宅用防災警報器・感知器・受信機:型式失効を伴う規格改正の動きは、2026年10月14日時点で公表されていません。
- 今後、火災事故を受けて規格が改正される可能性は常にあります。改正があった場合は、消防庁の報道資料・通知と日本消防検定協会の型式失効状況で、①失効の対象型式、②失効日、③設置上の特例期限とその対象(建物・設備・工事着手時期)、④第5章の判定を順に確認してください。本記事も改正に合わせて更新します。
11.型式失効に関するよくある質問
Q. 型式失効した機器を使い続けると、すぐに消防法違反になりますか?
すぐに違反になるわけではありません。規格改正による型式失効では、既に設置されている機器に設置上の特例期限が設けられるのが通例です。期限後に違反の状態になるのは、消火器・避難器具、特定防火対象物の設備、施行令第34条の設備、基準時以後に大規模な増改築を行った建物の設備です。設置当時の基準に適合して設置され、その後に用途変更や大規模な増改築がない既存の非特定防火対象物のスプリンクラーヘッドや共同住宅の受信機などは、期限後も従前の規定が適用され、型式失効だけを理由とする交換義務はありません。
Q. 型式失効と耐用年数(設計標準使用期限)は同じ意味ですか?
別の概念です。耐用年数は機器が劣化して性能を保てなくなる時期の目安で、メーカーや消防庁の指針で示されます。型式失効は技術上の規格の改正などによって型式承認の効力が失われる制度上の扱いで、機器が壊れていなくても該当します。逆に、現行規格の機器でも耐用年数を過ぎれば交換が推奨されます。
Q. 設置上の特例期間がまだ続いている型式失効はありますか?
本記事で確認した日本消防検定協会の公開資料(確認日 2026年10月14日)では、検定対象12区分で特例期間が続いている型式失効は確認していません。最後の大きな期限は旧規格消火器の令和3年12月31日でした。検定から自主表示に移った消防用ホース・結合金具・漏電火災警報器の旧検定品は令和9年3月31日までの経過措置が続いていますが、令和6年の消防庁通知(消防予第108号 問4)により、麻糸のホース以外のホース、すべての結合金具、昭和51年6月7日以後に承認を受けた漏電火災警報器は現行規格に適合するものとして扱われます。個別の型式は協会の失効状況検索で確認してください。
Q. 旧規格の消火器は、住宅に置いてあるものも交換が必要ですか?
住宅など消防法令で設置が義務づけられていない場所に任意で置いている消火器には、交換義務はありません。ただし旧規格の消火器は製造から長期間が経過しているため、メーカーの設計標準使用期限内のものへ交換することが推奨されています。
Q. 共同住宅の受信機が型式失効しています。交換しなければなりませんか?
共同住宅((5)項ロ)の自動火災報知設備は消防法施行令第34条の対象外です。設置当時の基準に適合して設置され、その後に用途変更や大規模な増改築がない既存の建物であれば、消防法第17条の2の5第1項により従前の基準が適用され、型式失効だけを理由とする交換は必要になりません。ただし、基準の施行・適用時期、設置当時の適法性、用途変更や増改築の履歴は確認が必要です。また失効品は新たな交換品・増設品として使えず、1階に店舗が入るなどして特定防火対象物になれば現行基準の対象になります。用途変更や大規模修繕の予定に合わせて、受信機ごと更新する時期を決めておくことをおすすめします。
Q. 型式失効した機器は、消防設備点検で「不良」になりますか?
消防設備点検では、作動状態に加えて設置状況や表示なども確認します。消防庁の点検要領では、たとえば消火器具の「表示及び標識」の判定項目に、型式失効に伴う特例期間を過ぎたものでないことが含まれています(消防予第557号)。型式失効品の扱いは、対象設備の点検基準・点検要領と、既設設備に適用される法令・経過措置を確認して判断します。正常に作動することだけで、法令上の不備がないとは判断できません。
Q. 型式番号から承認年を読む方法を教えてください。
「消第26〜2号」のように、「第」の直後の数字が型式承認を受けた年、「〜」の後が通し番号と枝番号です。ただし年の表記には昭和・平成の2桁のものと西暦4桁のものがあり、昭和と平成の区別は番号に現れません。「降第46〜1号」は昭和46年、「降第6〜6号」は平成6年の承認です。数字の大小だけでは承認時期も失効の有無も判定できないので、枝番号まで控えて日本消防検定協会の失効状況検索で照合してください。
Q. 失効品を交換するとき、消防署への届出は必要ですか?
設備と工事の内容によります。自動火災報知設備や避難器具の交換は、同等品への取り替えでも着工届・設置届が必要になる場合が多く、軽微な工事として省略できる場合もあります。工事を担当する消防設備士が所轄の消防署に確認したうえで必要な届出を行います。
Q. 令和7年のスプリンクラーヘッドの規格改正で、今のヘッドは失効しますか?
失効しません。令和7年7月30日公布の改正省令(令和7年総務省令第73号)には、施行の際に型式承認を受けているヘッドは改正後の規格による型式承認とみなす附則が置かれています。改正は新しく開発されたヘッドを特例なしで使えるようにする内容が中心です。
Q. 失効品かどうか分からない機器があります。どうすればよいですか?
銘板の型式番号を枝番号まで控えて、日本消防検定協会の失効状況検索で照合するのが確実です。銘板が読めない、機器にたどり着けない(避難ハッチの中など)場合は、点検業者に現地で確認を依頼してください。当社の点検でも、型式番号の確認と失効品の有無をご説明しています。
12.まとめ・改訂履歴
- 型式失効は、総務大臣が消防用機械器具の型式承認の効力を失わせることです。大半は技術上の規格の改正によるもので(消防法第21条の5)、不正な承認や長期間の検定未申請による失効もあります(第21条の6)。製品の故障とは無関係で、失効後はその型式を販売も工事使用もできません。
- 規格改正による失効では、既設の機器に設置上の特例期限が設けられるのが通例です。期限後に交換義務がかかるかは、設置義務の有無、消火器・避難器具か、特定防火対象物か、施行令第34条の設備か、設置当時の適法性と用途変更・増改築の履歴で決まります(消防法第17条の2の5)。
- 2026年10月14日時点で確認した資料では、検定対象12区分のうち8区分に失効の事例があり、規格改正による失効の特例期限はすべて終了しています。消防用ホース等の旧検定品は、令和6年の通知の3条件に当てはまれば現行規格適合として扱われます。
- 確認は銘板の型式番号(枝番号まで)と日本消防検定協会の失効状況検索。判断に迷う場合は、点検業者か所轄の消防署に確認してください。
改訂履歴
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月【公開日】 | 初版公開。確認資料:消防法・消防法施行令(e-Gov法令検索、2026年10月14日時点)、消防庁通知(消防予第450号・第557号・第207号・第120号・第121号・第108号)、総務省報道資料(令和2年9月30日・令和7年7月30日)、日本消防検定協会 型式失効状況(消火器・泡消火薬剤・感知器・発信機・中継器・受信機・漏電火災警報器・閉鎖型スプリンクラーヘッド・金属製避難はしご・緩降機) |
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出典・参考資料(一次資料)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の2の5・第21条の2〜第21条の16の7・第41条|e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第30条・第34条〜第34条の4・第37条・第41条|e-Gov法令検索
- 日本消防検定協会「型式情報検索(失効状況検索)」および品目別「型式失効状況」
- 消防庁「型式承認の失効に伴う消火器の取扱いについて」(平成23年12月7日 消防予第450号・消防危第276号)
- 消防庁「消防用設備等の点検要領の一部改正について」(平成22年12月22日 消防予第557号)
- 消防庁「閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令の一部を改正する省令等の施行について」(平成7年9月13日 消防予第207号)
- 消防庁「消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について」(平成25年3月27日 消防予第120号・消防危第46号)
- 消防庁「消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について」(平成25年3月27日 消防予第121号)
- 消防庁「消防用設備等に係る執務資料の送付について」(令和6年3月1日 消防予第108号)問4・問5
- 総務省報道資料「閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令及び消防法施行規則の一部を改正する省令(案)等に対する意見公募の結果及び改正省令等の公布」(令和7年7月30日)および各改正省令の附則
- 総務省報道資料「DIC株式会社が受けた型式承認の失効」(令和2年9月30日)
- 日本消防設備安全センター「消火器の規格・点検基準等の改正概要について」(平成23年9月)
- オリロー株式会社「失効及び罰則(緩降機の型式認証の失効について)」
※ 本記事は2026年10月14日時点の法令・通知・公表資料に基づいています。全型式・全告示を網羅的に照合したものではなく、個別の型式は日本消防検定協会の検索で、個別の建物の判定は所轄の消防署で確認してください。





